インバウンド需要に応じた価格戦略の変化と課題の実態

近年、訪日外国人旅行者の急増に伴い、観光・宿泊業界ではインバウンド需要が再び拡大しています。ダイナミックプラス株式会社が提供するレベニューマネジメントシステム「D+（ディープラス）」は、宿泊や交通、観光業界において価格戦略の調査を実施しました。2025年に向けて、国内観光の需要がコロナ前を上回るとの予測がなされる中で、観光業界が直面する価格設定の課題について詳細に見ていきましょう。

調査の背景

インバウンド需要の高まりにより、宿泊施設や観光事業者は新たな戦略が求められています。観光庁の見込みによれば、2025年にはコロナ禍以前の水準を超える需要が期待されています。これに伴い、海外からの旅行者に対して適切な価格戦略を見直す必要性が高まっています。しかし、現場では「どのタイミングで価格を調整すべきか」「洗練されたデータをどう活用すべきか」といった悩みも多いのが実情です。　

本調査では、観光業界に属する330名へのインターネット調査を通じて、実際の価格戦略の実態と課題について明らかにしました。

調査結果の概要

調査によると、現場が抱える課題は大きく三つの側面に整理されました。
1. 需要予測: 「混雑によるサービスの低下」や「予約の集中の予測が難しい」といった問題。
2. 価格戦略: 為替やイベントによる需要変動に対応する難しさや、顧客の価格感度がつかみにくいといった意見。
3. 文化的対応: 多言語対応や文化的要望への対応コストが高いなど、訪日客の文化的ニーズに応じた対応力の強化が求められています。

これらの結果は、需要の読みづらさや価格判断に関する課題が浮き彫りになったことを示しています。さらに、データを活用した予測や調整の仕組みの重要性が高まるのではないかと考えられます。

インバウンド向け価格設定の意識

調査結果によれば、インバウンド向けの価格設定を意識している企業は全体の69%を占めており、その中でも「繁忙期のみ意識的に調整している」との回答が28%に上りました。特に、為替の影響を考慮した調整や販売経路の差を念頭に置いた価格設定を行う企業が増加していることがわかります。しかし、依然として「特に意識していない」という企業も24%存在することから、業界全体において価格戦略の体系化が不十分である部分もあると考えられます。

今後の方針

将来的な価格戦略の方向性としては、「混雑状況に応じて価格を変動させる」という声が最も多く、次いで高価格帯のプランを強化したいとの回答が続いています。これは、「値上げ」から「最適化」へのシフトを象徴するもので、企業はリアルタイムな価格運用を目指していることが分かります。

結論

インバウンド需要の変動を確実に捉え、AIによる価格自動化を進める必要性が急務です。ダイナミックプラスとしては、観光・宿泊業界の発展に貢献するため、データに基づいた意思決定の支援や、業務効率化の実現に向けて取り組みを進めていきます。インバウンド需要に対する柔軟な価格対応を確立することが、成功の鍵となることでしょう。