エピックXの革命、ジェイコブ＆コーが導く新たなラグジュアリーの形

構造美が描く新時代のラグジュアリー

ラグジュアリーウォッチの世界では、伝統や格式が重要視されることが多いですが、ジェイコブ＆コーはそんな古い概念に挑戦し続けてきました。ブランドのルーツは宝石を巧みに扱うジュエラーとして知られていますが、彼らが目指すのは“見せかけの豪華さ”を脱却した新たなラグジュアリーです。

エピックXはその象徴であり、独自の「X」を形取るブリッジとラグは、単なる装飾にとどまらず、その構造が美を伝える芸術作品として存在します。手にした瞬間から感じる日常の中での“構造美”—それはまさに機械芸術の極みと言えるでしょう。この“X”は挑戦精神と未来への意志を表し、ジェイコブ＆コーの哲学である「Impossibleをインスパイアします」を強く感じさせます。

“X”が描く意志の可視化

“X”は、未知や神秘、魅力を象徴します。エピックX専用で開発されたムーブメントJCAM02は、この“X”という理念を具現化し、構造に落とし込まれています。このモデルでは、ムーブメントの両側に配置されたブリッジが、ラグと連動して文字盤上に“X”を描出。装飾を削ぎ落とした中に宿る美学が、ジェイコブ＆コーならではの発想を具現化しています。

この“X”は、数学では未知数、地図では目的地を示し、時には運命の交差点を象徴します。ジェイコブ＆コーはこの“X”に未知や神秘、魅力を託し、エピックXにその思いを込めました。

エピックシリーズの進化

ジェイコブ＆コーは初代「エピック」を発表し、その後、堅牢で存在感のあるスポーツウォッチを展開してきました。「エピックⅠ」や「エピックⅡ」は、外装による存在感でラグジュアリーを表現していましたが、時代は変わり、新たな表現へと向かいました。

2015年に登場した「エピックX」は、スケルトン構造を軸に、ブリッジとラグが描く“X”という革新的な設計を取り入れ、ラグジュアリーの在り方を一新しました。このモデルは、“見せる”から“魅せる”へと概念を転換し、ジェイコブ＆コーの新しい方向性を示すきっかけとなりました。

多様なエピックXの展開

エピックXは、その後も進化を遂げ、さまざまなモデルが登場しました。「エピックX ブリッジ」では、トラディショナルな装飾技法を施しつつ、建築的な美しさを強調。さらに、クロノグラフモデル、セラミックモデル、エピックX スポーツなど、多様な展開を見せています。

また、クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシとのコラボレーションによるモデルも、エピックXの世界観を広げています。これにより、一層の認知度の向上が図られ、本当にラグジュアリーが求められる時代にこそ相応しいタイムピースとなっています。

実用と芸術性の融合

エピックXが特異な存在として評価される理由は、そのユニークなデザインとともに“実用性”を兼ね備えている点にあります。強化防水、快適な装着感、さらには軽量素材との融合により、日常での利用を考慮した“機械芸術”として設計されています。

今後の展望

次回の「Vol.9」では、エピックXシリーズの核である「スケルトン」「ブリッジ」、「CR7」に焦点をあて、各モデルの構造と機能的進化を探ります。そして「Vol.10」では、様々な派生モデルをお届けします。

エピックXは単なる時計の枠を超え、意志そのものを体現した存在です。この新たなラグジュアリーの形に、ぜひご期待ください。