交替勤務と口腔健康
2025-12-09 10:59:51

交替勤務者の口腔健康調査と生活リズムへの影響

工場勤務者における口腔健康の新たな課題



近年、交替勤務を行う工場に勤務する人々の口腔健康状態に関する調査が行われ、注目すべき結果が得られました。サンスター財団と徳島文理大学の研究グループが実施したこの調査では、交替勤務者の口腔清掃状態が悪く、歯肉出血の頻度が高いことが示されました。さらに、歯科医療を受診している人の割合が低いという非常に重要な課題も浮き彫りになりました。

調査の背景と目的



口腔の健康は全身の健康状態に直接結びついていることが広く認識される中、就労期における歯科口腔保健施策の必要性が高まっています。特にこの時期は、歯周病のリスクが高まるだけでなく、歯の喪失も増えるため、交替勤務の労働者には特別な配慮が求められます。本研究では、交替勤務の有無による口腔の健康状態と保健行動の違いを明らかにすることを目的としました。

研究方法



本調査は2023年に実施され、交替勤務のある工場での定期歯科健診を受けた66人を対象にしました。彼らは、交替勤務者と非交替勤務者の2つのグループに分かれ、口腔清掃状態や歯科保健行動を比較しました。また、質問紙を用いて食習慣や健康意識についても調査しました。

主要な研究結果



1. 対象者の属性



交替勤務者の平均年齢は31.3歳で、50歳未満が76.9%を占めているのに対し、非交替勤務者は平均50.6歳で、50歳未満は18.9%という結果でした。このことから、若い世代の交替勤務者に特有の課題があることが示唆されます。

2. 口腔内状態の評価



調査によると、交替勤務者の口腔清掃状態はOHI-Sスコアで1.02と、非交替勤務者の0.35に対して非常に悪い状態でした。また、歯肉出血中の割合も前者が53.8%、後者が17.0%となり、明確な差が見られました。一方で、歯周病の重症者の割合は、双方でほとんど変わらなかったため、早期の健康維持が重要です。

3. 歯科保健行動



交替勤務者の約30.8%がかかりつけの歯科医を持っていない一方、非交替勤務者ではその割合がわずか1.9%でした。また、歯科受診率も交替勤務者では52.8%が1年以内に受診していないと答え、非交替勤務者の15.1%と比べて有意な差がありました。

4. 食習慣と健康意識



更に、食習慣に関しても交替勤務者は「だらだら食べることがある」と答えた人が69.2%、食事を欠かすことがあるとした人も同じ割合でした。これは、生活リズムが乱れることで食事の時間や内容が影響を受けることを示しています。

結論



これらの研究結果から、交替勤務者には口腔健康において多くの課題が存在することが浮き彫りとなりました。特に、生活リズムの特性を考慮した包括的な健康支援が必要です。ガイドラインを整え、まさに「健康を守る」ためには、各職場での施策や支援が密接に求められています。

今後の展望



交替勤務者の口腔健康を確保するためには、職域での施策を強化し、歯科医療との関係性を深めていくことが重要です。口腔ケアは全身の健康にも影響があるため、包括的な観点から支援を強化していくことが望まれます。今後もこの研究結果を基に、さらなる取り組みが進められることを期待します。


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