賃金の変動を読み解く
株式会社フロッグが提供する最新の求人ビッグデータを基に、2025年11月度の都道府県別賃金伸び率ランキングが発表されました。本レポートでは、雇用形態別にその動向を詳しく解説します。
調査の背景
今回の調査は、アルバイト・パート、派遣、正社員の三つの雇用形態に分け、それぞれの賃金変動を分析したものです。求人媒体としては、「イーアイデム」「バイトル」「マイナビバイト」(アルバイト・パート)、「はたらこねっと」「エン派遣」(派遣)、「doda」「type」「エン転職」「マイナビ転職」(正社員)が利用されています。
厚生労働省によれば、全国の最低賃金が過去最大幅で引き上げられた背景もあり、各都道府県での賃金動向は今後の雇用市場においても重要な指標となることでしょう。
雇用形態別の賃金増減率
2025年11月度の雇用形態別賃金変動は以下の通りです:
- - アルバイト・パート:-3.88%~+1.56%
- - 派遣:-3.66%~+2.52%
- - 正社員:-0.29%~+1.36%
アルバイト・パートでは、宮崎県が+1.56%でトップ。ただし、京都府や滋賀県のように大幅に減少した地域もあるため、地域による格差が顕著です。
派遣では、長崎県が+2.52%で1位。他の県と比較すると、比較的上昇傾向が見受けられます。正社員では山口県が首位となりました。
トップおよびワースト県の詳細
アルバイト・パート
1位:宮崎県(+1.56%)、2位:福岡県(+1.39%)、3位:鹿児島県(+1.34%)
ワースト:京都府(-2.64%)、滋賀県(-3.57%)、三重県(-3.88%)
宮崎県は1年間で1,090円から1,169円へと増加しました。一方で三重県は高い水準であったにもかかわらず、11月は1,239円へと減少しています。
派遣
1位:長崎県(+2.52%)、2位:鳥取県(+1.43%)、3位:宮崎県(+1.03%)
ワースト:栃木県(-1.87%)、徳島県(-2.08%)、愛媛県(-3.66%)
長崎県の派遣市場では、事務系の求人が減っているものの、値上げが影響したようです。愛媛県は一時的に介護系の求人が人気でしたが、その後変動が見られます。
正社員
1位:山口県(+1.36%)、2位:福井県(+1.20%)、3位:和歌山県(+1.03%)
ワースト:熊本県(-0.06%)、岩手県(-0.11%)、長崎県(-0.29%)
正社員市場では、山口県が着実に賃金上昇を続けているのに対し、長崎県は少し下降の傾向にあります。
まとめ
このランキングは、今後の労働市場を考える上で非常に重要です。賃金が地域ごとにどのように変化しているのかを把握することで、企業にとっては人材確保の戦略にも繋がるでしょう。地域による賃金の差は今後も注目され続けるテーマです。