小中学生の生活意識調査『こども定点2024』が示す心の変化と人間関係
公益財団法人博報堂教育財団こども研究所が実施した「こども定点2024」に関する調査が発表され、小中学生の生活意識や人間関係についての重要なデータが明らかになりました。本調査は、小学4年生から中学3年生までの男女2,400名を対象に、日常の活動やこれからの希望、自己認識、価値観などを見つめ直すことを目的としています。アイデンティティが確立されつつある子どもたちの成長を捉えるこの調査からは、多くの興味深い結果が浮かび上がっています。
主な調査結果
調査を通じてわかった主なポイントは以下のとおりです。
1.
友だちと遊ぶ時間が減少: 小4から中3にかけて、友だちと遊ぶ頻度が半減し、外での活動が全般的に減少しています。このことは、先進的なデジタル環境の影響とも考えられ、遊び方自体が変わってきていることを示唆しています。
2.
メッセージアプリとSNSの急増: 一方で、メッセージアプリやSNSを利用する割合は中学生になると急激に増加し、友人とのコミュニケーション手段が主にデジタルに移行している様子が見えます。小学生時代に比べ、中学生同期の半数以上がこのようなツールを使っているのは大きな変化と言えるでしょう。
3.
家族との活動の減少: 「これからしたいこと」について、『家族との活動』への関心が顕著に低下しています。これは思春期特有の自立希望が影響していると考えられ、家族との関わりが相対的に薄れつつあることがうかがえます。
4.
親の意見に対する依存度: お父さんの意見を参考にする子どもの割合は、学年が上がるにつれて低下し、お母さんの意見の重要性は中3でも残るものの、同様の減少傾向があります。家族の中でそれぞれの役割と影響が変化している様子を示しています。
5.
学力や見た目の価値観の変化: 言うまでもなく、学力や外見が重要視されているとする意識は、学年が上がるごとに10ポイント以上も上昇しており、成長するにつれて競争意識が高まっていることを示しています。
6.
自己認識の変化: いまの自分を表現する言葉において、明るさを示す言葉のスコアが減少し、控えめさが増加しています。ポジティブな自己認識が低下しているのは、思春期による心理的な変動と考えられます。
7.
自己評価の変化: 自分に自信を持っていると答える子どもが少なくなっている一方で、自分の決定を自分で行う意向は高まっていることがわかります。これは、自立志向の強まりを示しているものの、自己肯定感に関しては減少しているのが気になるところです。
まとめ
調査結果を通じて明らかになったことは、小中学生の生活環境がデジタルにシフトしていることだけでなく、家族との関係性や友人との遊び方においても変化が生じているという現実です。このような結果は、教育現場や家庭でのアプローチを見直す材料となるでしょう。今後もこの調査を通じて、子どもたちの意識の変化を追いかけ、彼らが必要とする支援や教育的アプローチを考えていく必要があります。
本調査は、全国対象で実施され、次の世代を担う子どもたちの成長や変化をしっかりと見つめ直す大切なデータを提供しています。教育の現場においても、子どもたちがより良く成長できるよう引き続きサポートしていくことが求められています。