台湾と日本が手を組む新たな医療イノベーション
2025年10月2日、東京・日本橋のGLOBAL LIFESCIENCE HUBにて、国際病院系ベンチャーキャピタル「BE Health」が新たな拠点を開設し、そのスタートを祝うオープニングイベント「Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night」が行われました。このイベントでは、日台の病院、スタートアップ、専門家が一堂に会し、医療の未来についての意見交換が行われました。
新拠点設立の背景
日本と台湾はともに、高齢化社会に直面しており、限られた医療資源を最大限に活用するためのイノベーションが求められています。BE Healthは、台湾で唯一の「病院 × ベンチャーキャピタル × アクセラレーター」を組み合わせた機関として、双方の協力を通じた新しい医療の形を提供します。
設立以来、BE Healthは170社以上のスタートアップと手を結び、AI診断やデジタル療法、遠隔医療など幅広い分野での支援を行っています。
臨床から始まる国際共創
BE Healthは、資金提供にとどまらず、台湾の秀傳医療グループやIRCAD Taiwanとの連携を通じて臨床検証の強みを活かすことで、スタートアップの成長に寄与しています。また、台北医学大学の国際的な臨床ネットワークを通じて、実証から市場展開までの一体的なサポートを行います。
このような支援モデルを背景に、成功事例も多く生まれています。日本と台湾からのスタートアップが、国際的な市場へと進出するための足がかりを得ているのです。
様々な成功事例
例えば、東京大学発のスタートアップInopaseは、BE Healthの支援を受けて国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を獲得し、8件の特許を取得しました。さらに、日本とオーストラリアの病院で臨床試験を実施し、グローバル市場への進出に成功しています。
また、台湾発のHealth2Syncは、デジタルAI慢性疾患管理プラットフォームとして成長し、70万人以上の日本ユーザーを抱えています。このように、日台の連携を通じた多様なイノベーションが期待される中、BE Healthはその架け橋となることを目指しています。
イベントの詳細
「Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night」では、3つのパネルディスカッションが行われ、各分野の専門家が具体的な経験を共有しました。特に注目を集めたのは、台湾スタートアップが日本の病院に参入する際の規制や文化的ハードルについての議論です。
さらに、参加した5社が自社の革新的なソリューションを発表し、会場での投票によってOUI社が「Pitch Rising Star」を受賞しました。OUI社は、スマートフォンを眼科検査ツールとして活用し、予防可能な失明リスクを低減するサービスを提供しています。
今後の展望
BE Healthの東京拠点は、市場拡大のためのハブであるだけでなく、臨床ニーズを起点にした日台の医療機関やスタートアップを結ぶ重要な存在となります。アジアの医療イノベーションは、国境を越えた協力の新たな段階へと進んでいくことでしょう。BE Healthはその中心的な役割を果たし、地域における医療の進歩に寄与することを目的としています。
新たな挑戦が始まったBE Health東京拠点の可能性に、多くの関心が寄せられています。今後の展開から目が離せません。