香りで記憶を呼び覚ますセントマティックの特別授業
2025年2月4日、SCENTMATIC株式会社による感性教育プログラム「香りの授業」が秋田県立比内支援学校で行われました。このプログラムは、香りを通じて自分自身の物語を創り出すというユニークな試みであり、今年で2度目の開催となります。今回は、特に注目を集めた「秋田杉」の香りがテーマに採用されました。
この授業は、地域に根づく香りを用いることで、参加者が故郷への愛着を感じながら本来の感性を引き出すことを目的としています。前回の授業では「バラ」の香りを使用しましたが、今回は、校庭にある「杉のたまご」の香りを皆で嗅ぎ、各々の想像力を膨らませていきました。通常、強い香りは記憶を呼び起こしやすいものですが、杉の香りは控えめであり、その分参加者の感性を繊細に引き出しました。
生徒たちは、嗅覚を使って香りを感じ取りながら、「どのような情景が浮かぶか」や「香りが引き起こす感情」を文字として表現しました。彼らの表現は驚くほど豊かで、多様でした。「木々が静かに揺れる音が聞こえた」「冷たい風に吹かれながら海辺を歩いている」といった声に加え、「花が咲き始める頃、やさしい風に撫でられて一匹のトラが目を覚ました」という幻想的な発想も飛び出し、生徒同士の再会や成長の様子も観察される印象深い日となりました。
セントマティックの取り組みと背景
セントマティックは、東京大学 大学院農学生命科学研究科との共同研究を通じて香りと言葉の結び付きを探求し、脳を刺激する新しい教育プログラムを開発してきました。この研究により、香りと言葉を同時に体験することが脳の様々な部分を活性化させることが分かり、今では教育の新たな可能性として広まりつつあります。
特にこの授業の流れはシンプルでありながら、創造的な発想を促すことに特化しています。まず、生徒たちは目を閉じ、香りに集中します。次に、浮かんだイメージを自由に書き出し、その言葉を使ってオリジナルの物語を作成していきます。そして最後に、その物語を全員で発表し合い、交流を深めるというプロセスが行われます。これにより、自己表現が促進されるだけでなく、仲間との絆も強まるのです。
また、生徒たちから寄せられた感想は授業の効果を物語っています。杉の香りがもたらした体験からは、自然を舞台にしたドラマチックなストーリーや、クラスメートとの交流が濃密に描かれていました。
誰もが自分の感覚を信じ、それを生かして新しい表現に挑戦することができるこのプログラム。今後もセントマティックの取り組みが、地域社会や教育機関においてますます広がっていくことに期待が寄せられています。教室から始まる新たな可能性を、香りとともに感じてみませんか。