人的資本の価値
2025-03-18 12:05:06

企業価値向上に必要な人的資本投資の重要性を解説。新たな分析結果とは?

2024年度の人的資本研究結果発表



一橋大学大学院の小野浩教授とIGSの福原正大氏が共同座長を務める「人的資本理論の実証化研究会」が2024年度の分析結果を発表しました。人的資本が企業価値に与える影響について具体的なデータをもとに解説していきます。

人的資本の投資効果とは?



本研究会では、2022年からの活動を通じて、人的資本が企業価値にどの程度貢献するのか、そのROIを明らかにしようとしています。2024年度の研究では、ISO30414指標やIGSのGROWを活用したスキル測定が行われ、主に「人的資本の投資対効果」に関する2つの示唆が得られました。

1つ目は、A社における階層ベイズモデルを用いた分析結果です。この会社では、営業成績が11.9%向上したことがわかりました。特にこれまでの手法に比べ、データに基づく分析から得られた具体的な効果が数値化されたことが評価されています。

営業成績向上の分析結果



具体的には、営業課題の異なる2つの部門(A部門、B部門)でのデータを比較する中で、職務レベルを1段階向上させることが、A部門では11.9%の営業成績向上に、B部門では6.0%の向上に繋がったことが確認されました。このように、人材育成の取り組みが直接的な成績に結びつくことは、企業戦略において非常に重要な要素と言えます。

賃金と利益の関連性



また、研究会の調査結果から「賃金」と「利益」には正の相関関係があることが示されました。従業員1人あたりの売上高が労働力コストと密接にリンクしており、これは「人件費削減が利益向上に繋がる」というこれまでの考え方を覆すものでした。新卒採用コストや中途採用比率も売上高に正の影響を与えることが証明され、人的資本は単なるコストではなく、重要な資産であることが浮き彫りになっています。

参加企業の声



参加企業からは、「これまで感覚的に実施していた人材投資の効果を、理論とデータで裏付けられることは大きな意義がある」との評価が寄せられています。これにより、最終的には企業価値への影響を計測できる見込みです。

2025年度の計画



2025年度には『持続的な利益を生み出す人的資本戦略』という新たなテーマが掲げられ、人的資本の価値をさらに深めるための研究が進んでいく予定です。新設される3つの専門分科会では、人的資本の実践へのアプローチを探求することが計画されています。これらの分科会は、企業の競争力を高めていくための貴重な場となるでしょう。

まとめ



本研究会が進めている人的資本に関する実証研究は、企業価値向上の鍵を握っています。データを基にしたアプローチで、持続的な成長を目指す企業には、人的資本への投資が不可欠です。今後の研究成果が、どのように企業の現場に応用されるのか、引き続き注目が集まります。


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