若手社員の離職と企業文化の深層へ
最近、若手社員の退職が企業経営者の頭を悩ませています。特に良好な職場環境を整えた企業でさえ、優秀な社員が次々と辞めていく現象が広がっています。この度、株式会社イマジナが発表した『関西企業の人的資本実態レポート2025』は、この問題に対する深い洞察を提供します。
レポートの背景
2025年11月19日から21日に開催された「第10回 関西HR EXPO」では、507名の経営者や人事責任者が集まりました。当社のブースには「若手の離職」や「管理職の育成」といった悩みを抱える多くの経営者が訪れ、興味を持ち寄せたアンケート回答を基に、企業の現状を分析しました。曰く、良い会社ほど従業員が辞めるという逆説的な現象の真因とは何なのか?
OJT実施率92%とその裏
多くの企業が「OJTは実施している」と考えていますが、実際には若手社員の成長を阻害する構造的な欠陥が浮き彫りになっていることが分かりました。定量的なデータが示すのは、指導の場と実際の成果との間に存在する「空白」です。これは、ただ単に指導しているだけでは、若手の心が離れてしまう原因であることを示しています。
主体性を求める企業文化
調査によると、企業が新入社員に最も期待する能力は「主体性」であることがわかりました。しかし、これは逆に若手社員をメンタル的な負担や早期離職に至らせる要因ともなっているのです。企業が求める自由を求める一方で、実際には経営側の意図が隠れた圧迫となってしまう姿が浮かぶのです。
ハイパフォーマーが辞めるパラドックス
30%以上の企業が直面している、従業員満足度が高まっているにも関わらず、有能な従業員が辞職する現象。これは従来のサーベイでは検知できない、いわゆる「静かなる退職(Quiet Quitting)」の予兆なのかもしれません。こうした問題は根深く、企業が自らの文化や価値観を見つめ直す必要があることを示唆しています。
費用対効果の著しい偏り
新入社員採用には大きなコストをかけるにもかかわらず、その後の育成に使われる投資は極端に少ないことも、このレポートで明らかになりました。まるで「穴の空いたバケツ」に水を注ぐが如く、成果を上げることなく無駄な出費を続ける経営モデル。そのため、経営の見直しが急務であることは言うまでもありません。
未来のために
イマジナの提言は、精神論に頼らずに「行動経済学」に基づいたアプローチへとシフトすることです。感情や環境に基づいて社員が「学びたい」「貢献したい」と感じるような共感価値を組織全体で創出する重要性を訴えています。また、高まる理念浸透度調査も2025年11月からスタートします。
今後の展開
このレポートは本日より特設サイトで無料ダウンロードが可能です。また、12月19日には書籍『共感価値の設計図』も発売される予定です。この機会を通じて、企業の皆さまに新たな視点と解決策をより多くの方々にお届けしたいと考えております。