大鵬薬品の新展開
2025-03-17 17:21:16

大鵬薬品がスイスのアラリス社を子会社化し新たな創薬技術を獲得

大鵬薬品、アラリス社を子会社化



大鵬薬品工業株式会社は、スイスのバイオテクノロジー企業アラリス社を完全子会社化することで合意しました。これは、両社が2023年11月に始めた共同研究の成果を受けたもので、2025年前半には買収を完了させる意向です。この買収により、大鵬薬品は最大7.4億ドルの支払いを行う計画で、早くも両社の連携が業界に大きな波紋を広げる可能性があります。

アラリス社は、抗体薬物複合体(ADC)に特化した企業であり、その革新的な技術が注目されています。ADCはがん細胞に特異的に結合する抗体が細胞障害性薬物を結合したものです。アラリス社が持つ「AraLinQ™」技術は、従来のADCの課題を克服するために設計されており、高溶解性のリンカーとシンプルな製造プロセスを特徴としています。

アラリス社の技術基盤は、均一性、安定性、および効力の高いADC候補を生み出すことができるため、抗腫瘍効果の向上とともに広い安全域が確認されています。同社は現在、血液および固形がんに対する3つの製品の開発を進めており、これらは2025年から2026年にかけて臨床試験へと進む予定です。

大鵬薬品は、代謝拮抗剤に加えて、独自の低分子創薬基盤であるシステイノミクス創薬を確立しており、さらにアラリス社のADC技術を加えることでがん治療における新薬の開発を加速することが期待されています。この件について、代表取締役社長の小林将之は「アラリス社との契約を結べたことを嬉しく思います。AraLinQ™は次世代ADCの可能性を広げる技術です」と語っています。

アラリス社のCEOであるDragan Grabulovskiもこの提携を誇らしく思い、がん治療の分野における大鵬薬品の専門知識が、同社のADC候補の臨床開発を加速させるとの見解を示しています。この買収によって、アラリス社は大鵬薬品の完全子会社として、スイスに拠点を置きながら引き続き事業と研究開発を進めることになります。

AraLinQ™技術について



AraLinQ™は、抗体のIgG-Fcフレームワークの特定部位にペイロードが結合することを可能にする技術で、薬物動態やエフェクター機能を維持したまま、がん細胞に選択的にアプローチすることができます。臨床開発が進む中で、同技術がもたらすポテンシャルには注目が集まっており、ADC分野における飛躍的な進展が期待されています。

この技術により、抗体やペイロードの構造を変えずにADCをがん細胞に結合させることができ、急速かつ効率的なプロセスで薬剤を生成することが可能です。経済的な効率性を持ちつつ、大きな治療の可能性を秘めた技術として、医療業界に新たな風を吹き込むことでしょう。

大鵬薬品とアラリス社の提携は、がん治療における未来を変える一歩となる可能性を秘めており、今後の研究開発に期待が寄せられています。

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