イマジナが示した新たな教育の形
2025年の12月2日、東京のコンベンションホールで開催された株式会社イマジナの新刊出版記念講演は、企業経営者たちの心を掴みました。この講演は、特に経営層にとって新たな知見を提供する機会となり、参加者は満席となる盛況ぶりでした。特に話題となったのは、講師である関野吉記氏による「根本教育」という考え方です。
経営者たちの「静かな退職」の現実
参加者の多くが、近年増加する「静かな退職」の現象に悩まされています。これは、従業員が表面的には勤務しているものの、内心では組織への愛着やモチベーションを失っている状況を指します。本講演では、これが日本企業における重要な課題であることが強調されました。
関野氏は、受講者に対し、社員を「能力」と「理念への共感度」という二つの軸で分類する独自のフレームワークを紹介しました。この分類は、組織内のさまざまな人材の特徴を捉えるもので、特に次の四つのタイプに分けられます。
- - A人材(人財): 組織をリードする理想的な人材。
- - B人材(人材): 理念には共感しているが、実務経験が不足している。
- - C人材(人罪): 高い能力を持ちながら、会社の理念に共感しない層。
- - D人材(在人): 能力・理念共に低い層。
関野氏は、特にC人材が若いB人材に与える影響が企業の将来に深刻な影響を与えることを警告しました。C人材は、理念への無関心を伝染させ、結果として組織全体のモチベーションを低下させる危険があると述べました。参加者からは、「うちの営業部長がまさにそのタイプだ」といった声が多数挙がりました。
根本教育への転換
従来の「対症療法」が機能不全に陥っていると指摘された本講演では、企業文化を根本から変えるための「根本教育」の必要性が強調されました。これは、行動経済学や組織心理学を取り入れたアプローチで、「この会社の目指す未来のために働く」という内発的動機を引き出す方法です。
参加者は、自己啓発や社外での学習が不足している現状に危機感を持ち、根本からの教育が必要だという認識を共有しました。関野氏は、教育の本質が「給料のため」にではなく、企業としての理念の実現に向けられるべきだと訴えます。このアプローチにより、エンゲージメントの向上と静かな退職への対策が可能になると参加者は信じて会場を後にしました。
新しい経営戦略の必要性
講演後には参加者から、「人的資本経営の解像度が上がった」「OJTの必要性が改めて認識できた」「痛みを伴う改革の必要性に気付いた」といった感想が寄せられました。これらは、ただ関野氏の話を聞いただけの体験ではなく、今後の経営戦略に生かす上で貴重な学びとなったようです。
書籍案内
関野氏が著した新刊『共感価値の設計図 ~まだ知られていない、”理念”の本当の価値とチカラ~』では、社員のエンゲージメントを高めるインナーブランディングの具体的手法が示されています。この本は、企業の発展に必要な「人」をどうにかするかの道を指し示す重要な一冊といえるでしょう。
会社紹介
株式会社イマジナは、東京都千代田区に本社を置く企業で、ブランディングやコンサルティングに特化しています。関野氏の率いるこの会社は、近代経営において必要不可欠な理念形成や価値観確立をサポートしています。彼らが提唱する新しい教育アプローチは、企業の未来を変える力があるのかもしれません。