オープンソース導入支援国際団体「Unchained Stack Foundation」設立
LOGIQ株式会社をはじめとする5社が新たに設立した「Unchained Stack Foundation」(USF)は、技術選定における自由を確保するための非営利団体です。その設立の背景には、ベンダロックインによる企業のIT選択肢の狭まりがあり、この問題の解決を目指しています。
団体設立の背景
近年、企業は特定のソフトウェアやベンダーに依存せざるを得ない状況が多く、特にBroadcomによるVMwareの買収やOracle Javaのライセンス改定により、急激な価格上昇や突如のコストが発生しています。これにより、多くの企業が経済的自由を奪われ、競争力が脅かされています。USFは、これらの問題に真正面から立ち向かうことを目指し、オープンソースの利点を広める取り組みを始めました。
目的と活動内容
USFの主な目的は、ベンダ移行に必要なノウハウを形式知として体系化し、多言語での情報共有を可能にすることです。公式フォーラムが設けられ、企業や技術者が自由に議論し、情報を共有できる場が提供されます。このような取り組みを通じて、IT基盤の選択における透明性が向上し、不当なロックインを回避できるよう努めます。
Chain Depth™ 指標の導入
さらに、USFでは新たな指標「Chain Depth™」を導入し、特定のソフトウェアがどの程度ロックインされているかを評価することができます。この指標は以下の観点から評価されます:
- - 技術面:他製品への移行の難しさや互換性の低さ。
- - 契約面:長期契約や違約金が企業の自由を侵害しているか。
- - 運用面:特定ベンダに依存した環境の必要性。
この指標を活用することで、企業はより適切なIT基盤を選択しやすくなります。
参加企業
USFには、4つの企業が創設メンバーとして参加しています。サイオステクノロジー株式会社、両毛システムズ、コンフィデンシャルサービス株式会社、InfiniCloud株式会社がその名です。これらの企業は、技術選定の自由を守るための共通の理念を持ち、USFの活動を支援しています。
理念に共感する企業
サイオステクノロジーの黒坂氏は「特定のベンダーに依存せず、多様な技術から最適なものを選ぶ自由が必要だ」と強調しています。一方、両毛システムズの大澤氏は「オープンかつ自由な技術選定ができる環境を築くことが、企業にとって重要だ」と述べています。
今後の展望
USFは、今後さらに多国籍展開を進め、多言語対応のチャプターを設ける計画や、Chain Depth™ランキングの公開などを視野に入れています。また、OSSに関連する認定資格制度の整備も視野に入れており、技術者に対する新たなインセンティブを提供する方向に進む予定です。
まとめ
Unchained Stack Foundationの設立は、オープンソースを通じたIT基盤の選択肢拡大に繋がり、企業の競争力を高める貴重な一歩です。USFは今後、さまざまな活動を通じて、IT業界全体の生態系をより健全で持続可能なものにしていくことでしょう。