ユシロが実現したβ-シクロデキストリン誘導体の量産
先日、株式会社ユシロ(東京都大田区)は、長年の研究開発の成果として、β-シクロデキストリン-6-トシレート(CDTS)の大量合成に成功しました。この革新的な技術により、ユシロの生産能力は現在の25倍に増加し、コスト削減や安定供給が期待されるようになりました。
β-シクロデキストリンとは
β-シクロデキストリン(CD)は、環状の糖化合物であり、構造的に特異な性質を持っています。主にトウモロコシを原材料に、不揮発酵素を使用して合成されるこの化合物は、食品や工業利用で広く用いられています。特筆すべきは、その製造過程で二酸化炭素を吸収しカーボンニュートラルな特性を持つ点です。
CDの特徴は、内部が疎水性、外部が親水性という立体構造で、これにより他の化合物を効果的に取り込むことが可能です。例えば、CDは水中で疎水性の成分を吸収する性質があり、消臭剤やドラッグデリバリーシステムの素材として利用されています。
CDTSの新しい可能性
ユシロが量産化に成功したCDTSは、CDの特性を持ちながらも、特定の官能基(トシル基)に置き換えられた新しい誘導体です。この新しい化合物により、様々な科学技術的応用が期待されます。特に、自社での研究開発が進んだ結果、高純度のCDTS(純度90%)の合成に成功し、今後の市場における展開が待たれます。
自社製品「ウィザードゲル®」の事例
CDTSを用いた化学変換の研究から生まれたのが、β-シクロデキストリン-6-アクリルアミド(CDAA)です。特に、このCDAAは自己修復性のある素材「ウィザードゲル®」の基礎となっており、多くの研究機関や企業で社会実装に向けた開発が進められています。
これにより、切断傷に対応する新たな医療技術が開発される見込みです。実際、ウィザードゲル GM-0001という製品が市場に出ており、様々な分野での活用が期待されています。
将来の展望と持続可能性
CDTSの成功は新たな材料開発のキーストーンとなるだけでなく、持続可能な開発目標(SDGs)にも寄与するものと考えられます。将来的には、CD誘導体を利用しての新材料の開発が進むと同時に、食品や工業用途におけるコスト低減や安定供給も実現されるでしょう。ユシロは、これらの製品を通じて、環境に配慮した技術を社会に提供し続けることを目指しています。
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