新たな測定法でバイオマス由来を見極める
現在、バイオマス製品の利用が急速に広がっており、生活のさまざまな場面での導入が進んでいます。プラスチック、衣料品、さらには液体燃料などの分野でも活用が進んでおり、その重要性が年々増してきています。そのため、バイオマス由来成分を正確に判別する技術が求められています。今回、東京都立産業技術研究センター(都産技研)が開発したバイオベース炭素含有率の測定法が注目を集めています。
開発背景
従来は、加速器質量分析を用いる方法が一般的でしたが、その装置は非常に希少で、測定コストが高いという課題がありました。このような状況の中で、都産技研はより安価で簡単に実施できる測定法の開発に成功しました。新たな測定法は、一般的な試薬を使用した前処理と、広く知られている液体シンチレーションカウンターを用いて行われます。
新技術の特徴
今回の測定法は、以下のような特長を持っています。
1.
低コスト・簡便性: 従来の方法よりもコストが抑えられており、測定を行うための技術的なハードルも低いため、多くの試料を迅速に解析することが期待されています。
2.
実用的な精度: 簡便であるにも関わらず、実用に耐えうる精度を実現しました。
3.
多様な試料に対応: 試料燃焼と有機塩基を活用したCO2捕集を行うことで、種類を問わず多様な有機物の試料を測定可能になりました。
この新しい測定法は、特に試料のスクリーニングにおいて大きな利点をもたらすと考えられています。特に、多数のサンプルを迅速に評価し、バイオマス由来成分の含有率を明らかにすることが求められる分野での応用が期待されています。
研究成果の公開
この技術に関する詳細は、2025年3月15日に発表される論文『有機塩基を用いたCO2捕集による簡便なバイオベース炭素含有率測定法』に記載されます。著者には内田海路氏と片岡憲昭氏が名を連ね、オンライン速報版が2025年2月22日に発表されています。
共同研究の募集
都産技研は、この新技術を製品化するために協力してくれる企業を募集しています。興味がある企業は、ぜひお問い合わせを通じて企画に参加してみてはいかがでしょうか。バイオマス製品の未来を切り拓くために、多くの方々の参加を期待しています。
バイオマス由来の製品が日常生活に溶け込みつつある今、こうした測定技術の発展は我々の環境意識を高める重要な一歩となることでしょう。今後、バイオマス業界がさらに成長する中で、技術革新がもたらす変化に注目していきたいものです。