秒の再定義
2025-12-01 15:13:22

2030年に向けた秒の再定義に関する新たな理解の確立

秒の再定義に向けた統一的理解の確立



国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、パリ天文台と連携し、国際単位系における「秒」の再定義に関する重要な進展を報告しました。この成果は、再定義に向けた二つの選択肢を統一的に理解する新たな方法を提供します。これは、2023年の国際度量衡総会における「秒」の再定義に向けた議論の加速を助けるものです。

秒の再定義の背景


現在「秒」は、セシウム原子のマイクロ波領域での遷移を基準に定義されています。しかし、今世紀初頭から光原子時計が発展し、より高い精度で時間を計測することが可能になりました。この革新に伴い、秒の定義を光学遷移に基づくものに変更する議論が盛んに行われています。2010年代後半から、特定の光原子時計を単一選択する「Option 1」と、複数の光原子時計を用いた「Option 2」の二つの方法が提案され、ANSが議題に挙げられてきました。

当初は、光原子時計の中から一種類を選ぶことが目指されましたが、実際には多くの原子が候補として挙げられ、その選定は難航していました。そこで2019年に提案されたのが、複数の原子を用いた「Option 2」です。この方法では、各原子種の貢献度を定量的に評価することが可能となり、機械的な判断による定義の決定が強調されています。

統一的理解の方法


NICTの新たな研究成果は、これまで難解だった二つの選択肢の理解を大幅に改善しました。従来の理論のみならず、図を使用してすっきりとしたイメージを持つことができるアプローチを採用しました。

グラフの例

図中のグラフでは、セシウムとストロンチウムの遷移周波数を比較できます。このように、選択肢間の関係を視覚的に捉えることで、ユーザーはより直感的に理解できるようになります。特にOption 2において、重み付けの重要性が視覚化され、定義の本質的な部分が浮き彫りとなります。

これからの展望


この新たな理解がもたらすものは、単なるデータの整理にとどまらず、将来的な議論の促進と科学的合意に繋がることが期待されています。時間の専門家らがOption 1、Option 2を支持する立場になっても、どちらの選択肢の内容も深く理解できるようになり、実りのある対話が進むことでしょう。

2030年には国際度量衡総会において新たな秒の定義が期待されており、この成果がその議論を一層加速させるものとなることが期待されます。基準が揺らぐなかで、精度の向上と共に国際的信頼性の確保に貢献することがこの研究の最終的な目的です。

論文情報


著者: Jérôme Lodewyck, Tetsuya Ido
論文名: Properties of a definition of the SI second based on several optical transitions
掲載誌: Metrologia
DOI: 10.1088/1681-7575/ae033f


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