岡山大学と京都薬科大学が連携
岡山大学病院薬剤部は、このたび京都薬科大学と一緒に新たな教育プロジェクトを始めることを発表しました。プロジェクトの目的は、薬剤耐性(AMR)の対策を進めるため、特に感染症分野に強い薬剤師の育成を目指すことにあります。これは、持続可能な教育コンテンツを開発することにより、次世代の薬剤師を支えようとする新しい試みです。
プロジェクトの中心メンバー
このプロジェクトは、岡山大学病院薬剤部の東恩納司薬剤主任を筆頭に、さまざまな専門家によって運営されています。岡山大学の濱野裕章講師(副薬剤部長)、座間味義人教授、さらに京都薬科大学からは豕瀬諒助教、村木優一教授がメンバーとして参加し、幅広い知識と経験を持ち寄っています。これらの専門家は、感染症に対する薬剤耐性の問題に取り組むため、自宅でもアクセス可能な教育リソースを用意し、全国の薬剤師たちが必要な知識を身につけられることを目指しています。
合同学会での発表
2025年5月8日から10日の間に開催された「第99回日本感染症学会総会・学術講演会」では、村木教授がこの教育プロジェクトの内容を紹介しました。参加者の多くが、この新しい試みに興味を持ち、将来的な期待が高まっています。このプロジェクトは、地域社会に根ざした研究・教育活動として、特に医療の現場で役立つ内容となることを目指しています。
教育アプリ「KimBen pharma」
このプロジェクトでは、岡山大学発のベンチャー企業である株式会社Medswellが開発した薬剤師向けの教育アプリ「KimBen pharma(キンベン ファーマ)」も活用されます。このアプリは、臨床現場のシミュレーションを通じて、全国の感染症専門薬剤師が作成した模擬症例を体験することができます。さらに、解説動画や基礎的な知識を提供する動画コンテンツによって、学びの幅が広がります。
デジタル教育の進化
このアプリを利用することで、これまで主に学会や研修などで行われていた専門教育をデジタル化し、いつでもどこでも学ぶことが可能になります。プロジェクト開始直後から、すでに100人以上がこのアプリを利用し、高評価を得ています。このように持続可能な教育モデルを構築することが、岡山大学と京都薬科大学の重要な目標の一つです。
今後の展開
今後このプロジェクトでは、さらに多くの薬剤師や薬学生に向けた情報発信を行い、教育内容を充実させていく予定です。岡山大学病院と岡山大学は、地域に根ざした特色ある研究を進め、地域社会の薬剤師や医療従事者を支える取り組みに期待が寄せられています。岡山大学の新しい教育プロジェクトは、まさに薬剤耐性対策の未来を切り開く大きな一歩となるでしょう。