平和への思いを音楽で繋ぐ「平和のためのコンサート」
2025年9月から10月にかけて、日本、韓国、バチカンで開催される「平和のためのコンサート」は、ブラジルの「オーケストラ・クリアンサ・シダダン(OCC)」が主催します。このコンサートは「芸術に戦争はない」という理念のもと、音楽を通じて国境を越えたメッセージを発信します。特に注目すべきは、ブラジル、韓国、北朝鮮、ロシア、ウクライナ、イスラエル、イランから集まった25人の若者たちが多国籍アンサンブルとして共演することで、この音楽イベントは単なるコンサート以上の意味を持つのです。
音楽家の中には、戦争で大切な家族を失った者もいますが、彼らは共通の願いである「平和」を音楽で表現しようとしています。この試みは音楽の力で国際的なつながりを築き、対話を促進し、平和と和解のメッセージを広めようとしています。「平和のためのコンサート」は、ただの音楽の演奏にとどまらず、参加者全員が「きっかけ」を得られる場でもあります。
OCCは、2006年にブラジル・ペルナンブーコ州で設立され、恵まれない環境にいる740人以上の若者に音楽教育を無償で提供しています。彼らは、音楽を通じて社会的な価値を学びながら、素晴らしい市民としての成長を目指しています。OCCの活動は高く評価され、数多くの賞を受賞してきました。その中で特に注目すべきは、2010年に国際連合から社会的包摂の優良事例として選ばれたことです。さらに、OCCはユネスコのネットワークにも組み込まれ、世界にその影響を広げています。
「平和のためのコンサート」の初公演は2023年11月にバチカンで行われ、特別ゲストとしてフランシスコ教皇も出席しました。この歴史的な瞬間は、音楽の力が持つ平和のメッセージを象徴しています。また、2024年には創立18周年を祝い、特別な再演も行われました。このようにOCCは、コミュニティの希望と文化の架け橋としての役割を果たしています。
2025年のツアーでは、広島を含むいくつかの会場での公演が予定されています。特に10月4日には待望の広島公演が行われます。1部は観覧無料で、平和記念公園の対岸にある親水テラスで11:00から開演します。天候によっては中止となる可能性もあるため、事前の確認が推奨されます。また、同日の18:30からは広島YMCA国際文化センターでの公演が予定されており、こちらも入場無料で予約は不要です。
公演は全国各地でも開催され、その一環としてソウルや大阪関西万博(ブラジル館)でも迎えられます。プログラムには、H. ヴィラ=ロボスやJ. バッハ、A. ピアソラなどの多彩な作品が含まれる予定で、クラシックから現代音楽まで幅広いジャンルが楽しめます。音楽の魅力を存分に享受しつつ、何よりも「平和」の願いを共に感じることができる機会となるでしょう。
OCCのジョアオ・ジョゼ・ロシャ・タルジノ判事は、音楽が持つ力を信じ、その役割を果たし続けています。このコンサートは単なるイベントではなく、未来の世代に向けた平和のメッセージでもあります。音楽の力が国を越えて繋がる瞬間を、ぜひとも会場でご体感ください。