生成AIが生み出す産業用ロボットの未来
株式会社チトセロボティクスが手掛ける最新のプロジェクトでは、生成AIを用いた産業用ロボットの動作指示システムに関する検証が行われています。このシステムは、Vision-Language Model(VLM)を活用しており、ロボットの手先カメラから得た画像情報と日本語による作業指示を基に、産業用ロボットのC++制御プログラムを自動生成します。
研究の目的と背景
製造業界では、産業用ロボットの利用が急速に拡大しています。しかし、現場作業者が直接ロボットに動作を指示する仕組みについては、まだまだ知見が不足しているのが現状です。このプロジェクトでは、ロボット教示スキルを持たないユーザからの指示に対し、安全かつ仕様を満たしたコードを生成する方法を探ることを目的としています。
検証の概要
今回の検証では、「ピック&プレイス」と呼ばれるタスクに焦点を当てました。このタスクでは日本語での具体的な指示が用いられ、ロボットが対象物を識別し、指定された場所に移動させる作業を行います。また、安全動作についても考慮され、「ワークが見つからなかった場合の処理」や「把持後の動作に関するルール」などが含まれています。
人間の作業者が作業指示を行い、その指示をAIが解釈してプログラムを生成。この際に参照情報も段階的に追加し、プログラムの品質を評価しました。
参照情報の役割
検証で使用した参照情報は、以下の3種類に分類されます:
1.
埋め込みプロンプト:基本的な動作ルールを提供。
2.
APIリファレンス:実在する機器の制御方法に関する詳細情報。
3.
過去事例データベース:現場の知見を基にした実務コード。
これらの情報をもとに、AIが生成したプログラムの指示仕様への適合性やコードの習熟度が評価され、質の向上が確認されました。
検証結果と評価
出力されたAIプログラムは、指示仕様への準拠度とコードの習熟度という2つの観点から評価されました。検証の結果、参照情報を追加することで、合計スコアが74.3%から88.7%に向上することがわかりました。
これにより、AIによる産業用ロボットの動作プログラムにおいて、生成品質が飛躍的に向上し、現場での直感的な操作が実現可能であることが示されました。特に、過去の実務データがAIに重要な知見を提供することが発見され、今後の産業用ロボットの設計における重要な要素となるでしょう。
今後の展開
チトセロボティクスは、現場ニーズに合った連続稼働テストや複雑な作業手順への適用を進め、生成AIとロボット技術の更なる融合を目指しています。実装知識や運用ノウハウをAIが参照できるよう整備し、専門家だけでなく現場作業者も利用しやすい仕組みの実現を目指します。
この取り組みにより、ロボットがより身近な存在となり、さまざまな現場での働き方が変わることでしょう。人々の未来に新たな価値を生む可能性を秘めたこの技術に、ぜひご注目ください。公式YouTubeチャンネルでは、生成AIによるロボット操作の動画を公開していますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
最後に
このプロジェクトは、2026年6月30日に福岡で開催されるロボティクス・メカトロニクス講演会で発表予定です。興味のある方は是非ご参加ください。私たちチトセロボティクスは、ロボットの未来を切り拓く挑戦を今後も続けていきます。