建設業界の厳しい現実
2025年度版の調査によると、建設業界の経営者の72.7%が未だに人手不足を実感していることが明らかになりました。M&Aキャピタルパートナーズが実施したこの調査は、110人の経営者を対象に行われたものです。その中で、人手不足の深刻さは依然として根強く、特に「非常に感じる」と回答した経営者は30%にのぼります。これは昨年の調査に比べて19ポイント減少したとはいえ、依然として厳しい状況です。
この人手不足への対応策として、調査に回答した企業の過半数(53.8%)が「基本給の引き上げ」を実施しており、次いで「福利厚生の充実」が28.7%となっています。つまり、企業は従業員の待遇を改善することで、現場の人材を確保しようとしているのです。
しかし、興味深い点は、2024年から適用される時間外労働の上限規制に対する「2024年問題」の対策が、33%以上の会社で未実施であるということです。未対応の理由に関しては、「人員確保が難しい」と答えた経営者が44.4%という状況です。人手不足によって、工期の管理が困難になる、納期の調整ができないなどの問題が次々と浮上しているのです。
競争環境の厳しさ
今後の経営環境について、約六割の経営者が「さらに厳しくなる」と予測しています。その理由としては80%か以上が「人手不足の深刻化」を挙げています。これは、労働市場の競争がますます激化し、建設業界の維持と成長がこれまで以上に難しくなることを意味します。
さらに、74.6%の経営者が「自社単独での経営課題を解決するのは難しい」と考えています。これは、資材費の高騰や需要の変化など、さまざまな課題が同時に存在しているからです。これに対処するためには、他の企業との連携や、M&Aの利用が強く求められています。
M&Aの助け
実際、2025年のM&A件数は過去最高の水準を維持する見込みです。特に、中小企業が人材確保のために「人材ごと企業をM&Aする」動きが増えてきています。地域に密着した会社は、施工力やネットワークが評価されており、大手ゼネコンやファンドからの買収が進んでいる現状です。
また、市場のニーズに応えるために、公共投資や新しいメンテナンス需要への対応が求められています。これに応える企業は、優れた技術力やノウハウを持っている必要があるため、M&Aを通じてそれらを獲得していく流れが加速しています。
まとめ
現在、建設業界は「事業承継」と同時に「成長戦略」を求めるM&Aのニーズが高まっています。若い経営者が将来的な体制強化を目指してグループ入りするケースも多くなってきました。M&Aを通じた企業の再編は業界をより強固にし、経営課題を乗り越える一つの手段として期待されています。
このような厳しい状況の中で、まずはM&Aに関する情報収集を進め、どのように活用できるかを知ることが非常に重要です。経営者の皆様には、ぜひこの情報を参考にしていただきたいと思います。