みらいマルシェが始めた新たな鮮魚セット定期配送サービス
背景
東京の青果市場において、様々な魚種が取引されている一方で、最近の水揚げ状況は不安定であることが多くの報告から明らかになっています。かつては安定供給が可能だった魚種も、現在では供給量が急減するケースが増えており、スーパーマーケットや鮮魚小売店からの需要も変化しています。こうした状況を受け、オンライン卸売市場「みらいマルシェ」を運営する株式会社みらいマルシェは、2025年5月から新たに鮮魚セットの定期配送サービスを開始することを発表しました。
サービスの概要
この新サービスはスーパーマーケットや鮮魚小売店のニーズに基づいており、魚種、サイズ感、価格帯、配送頻度など、店舗側の要望に応じた鮮魚セットを各店舗に届けるものです。事前に行われるヒアリングを通じて、最適な産地とのマッチングを図ることで、安定的な取引を実現します。また、天候不良などの影響が出た場合でも、他のエリアからの供給調整を行い、常に安定した魚の供給を維持します。
実績と展望
試行運用期間を経て、実際に試験運用が行われた結果、約600箱の出荷が実現されました。実際にスーパーや鮮魚業者からのフィードバックを受け、サービスの質が向上していることも確認され、正式にサービスをリリースする運びとなりました。今後は、出荷できる産地の拡大やサポート体制の強化を図りながら、消費者ニーズに合った多様な魚種の取り扱いを進めていく考えです。
取引先の声
「株式会社東急ストア」の水産バイヤー、甲斐和貴氏は、鮮魚セットがもたらすメリットについて語ります。「魚の鮮度と品質にこだわる当社としては、需要に応じたさまざまな魚種の提供に苦労していましたが、このサービスにより、より多様な魚を簡単に取り入れることができるようになりました」とのことです。
また、「有限会社勝部商店」の代表、勝部圭一氏は「定期配送を利用することで、売り場の多様化と同時に顧客への利便性向上にもつながりました。」と、新たな取引の形が従来の方法とは異なるメリットを生み出していることを強調しています。
環境への配慮
みらいマルシェは、流通の効率化だけではなく、環境への配慮も重要視しています。需給のバランスを考慮し、無理な出荷を回避するほか、地域の食材の有効活用や、低利用魚種の活用促進によって、持続可能な流通の形を模索しています。このように、みらいマルシェは流通の新しいかたちを追求し、地域経済の活性化やフードロスの削減にも貢献しようとしています。
総括
鮮魚セットの定期配送サービスは、これまでの流通の常識を打ち破る新たな取り組みです。特に安定化しにくい水揚げ環境において、最小限の投資で最大限の利益を引き出そうとする各業者の試行錯誤は、今後の水産物取引の未来を示唆しています。持続可能な水産流通のため、みらいマルシェはますますそのネットワークを広げていくことでしょう。