はじめに
2024年から2025年にかけて行われた意識調査の結果、大企業が抱える人事課題や取り組むべきテーマが浮き彫りになりました。その中心には「人材育成・組織開発」があり、特に管理職教育が重要視されています。今回の調査を基に、今後の人事戦略について考察します。
調査の背景
あらゆる業界で企業倒産件数が増加する中、企業は人材の確保と育成に注力する必要があります。特にアフターコロナの影響で、技術革新や物価高に直面している企業にとって、優秀な人材の存在は競争力を維持するために不可欠です。調査は、302人の人事責任者に実施され、企業の成長と従業員の幸福を支えるための課題が明らかになりました。
人事部が取り組むべきテーマを探る
調査の結果、最も取り組みたいテーマとして「人材育成・組織開発」が挙げられ、特に大企業では92.3%がこのテーマに同意しました。これはすべての規模の企業に共通する傾向です。実際のデータを見ても、従業員数が1001人以上の企業で特に多く、9割がこのテーマに関心を寄せています。
課題:リソースの不足
人材育成を進める上での最大の課題は、時間と人的リソースの不足です。多忙な現場社員が育成に割く時間がないという声が多く、これは全ての企業規模で共通の問題となっています。具体的な調査結果では、特に100人以下、101人〜300人、1001人以上の企業で、現場の時間的制約が大きな足枷となっています。
中小企業と大企業の違い
調査をさらに詳しく見てみると、企業規模によって取り組むべきことに少しずつギャップが見られます。中小企業では、育成制度の構築や見直しが声高に求められており、大企業では管理職への教育に寄せられる期待が高まっています。これは、中小企業が人材を育成し、固定化しようとする一方で、大企業は管理職の指導力強化によって人員の維持を図ろうとしています。
「採用」と「教育研修体系」
人事部が興味を持つテーマについてのデータも興味深く、100人以下の企業では「採用」が最も関心を持たれましたが、301人以上の企業になると「教育研修体系の構築」が主な関心テーマとなりました。これは、従業員規模が増えるにつれて、教育の重要性が高まる傾向を示しています。
離職防止策
さらに、社員の離職防止と定着のための取り組みとして、中小企業では「育成制度の構築」が多く挙げられましたが、大企業では「上司・管理職への教育」が主なポイントとなる見解が多数でした。上司の効果的な教育が従業員の定着に直結することを大企業が理解していることが伺えます。
まとめ
今回の調査結果からは、企業の規模に関わらず人事部が抱える共通の課題「人材育成・組織開発」が浮き彫りになり、特に管理職の教育が重視されることが分かりました。今後企業が成功するためには、上司と管理職が育成の重要性を認識し、効果的な施策を導入することがカギとなるでしょう。企業規模に合わせた取り組みで、社員の離職を防ぎ、組織をさらなる成長へと導いていく必要があります。