英EDFとKrakenが家庭エネルギーの新時代を切り開く

2025年11月17日、ロンドン発。英国の大手エネルギー供給企業であるEDFが、テクノロジー企業Krakenとの新たな提携を発表しました。この協業を通じて、英国の家庭はより効率的かつ柔軟にエネルギーを利用できるようになる見通しです。特に注目すべきは、家庭の電気料金を年間で数百ポンド削減できる可能性があることです。

AI技術を活用したエネルギー管理

KrakenのAI技術に基づいたオペレーティングシステムを用いることで、EDFは家庭内の電気自動車（EV）、蓄電池、ヒートポンプ、ソーラーパネルなどのデバイスを自動的に管理します。これにより、電力が最も安価で環境に優しい時間帯に運用を最適化し、コスト削減と脱炭素化という二つの目標を同時に達成します。

すでにおよそ1,000台の家庭用エネルギー機器がKrakenのプラットフォームに接続されており、合計7MWの電力を供給可能な状態です。これにより、約1万世帯の電力供給に相当する柔軟な電力ネットワークが実現しています。今後はさらにこのネットワークを拡大する計画も進行中です。

さまざまな家庭での利便性向上

新しいプラットフォームの導入により、EDFは従来の顧客対応や発電、蓄電ポートフォリオの管理に加え、家庭内エネルギー資源の柔軟な運用を追求します。特にEVユーザーにとっては、通常の家庭充電と比較しても、かなりの金額を節約できるチャンスが広がります。

Krakenのプラットフォームは、現時点で2GWを超える分散型エネルギーリソースを管理しており、これは世界でも最大級の「バーチャルパワープラント（VPP）」の構築を可能にしています。この仕組みはエネルギーシステム全体の効率を向上させるだけでなく、炭素排出の削減にも貢献しています。

EDFとKrakenのこれまでと今後

EDFは2020年に顧客システムをKrakenに移行し、2年のうちに1,700万件を超えるデータを統合しました。結果として、顧客満足度と従業員のエンゲージメントが向上し、Trustpilotの評価は4.8に達しています。Krakenはすでに世界70社以上のエネルギー企業に採用され、7000万件以上の顧客アカウントを管理しています。

さらに、両社は「Mercury Consortium」を設立し、スマートエネルギーの国際的な標準化に向けた活動も行っています。

EDFのリテール事業担当ディレクターであるRichard Hughes氏は、"Krakenとの協業により、英国中の家庭にスマートで持続可能なエネルギーを手軽に提供できるようになる"とコメントしています。

一方、Krakenのチーフ・フレキシビリティ＆マーケティングオフィサー、Devrim Celal氏は、"EDFとの長期的な協力関係をさらに深化させ、新たな領域に挑むことができるのは光栄です。テクノロジーを駆使してエネルギーの未来を創り出していくことが、この連携の目標です"と述べています。これからの具体的な動きに注目です。

EDFとKrakenの企業情報

EDFは英国最大のゼロカーボン電力供給企業で、原子力や再生可能エネルギーを中心とした低排出電力の普及に力を入れています。5つの原子力発電所と30を超える風力発電所を運営し、約14%の英国電力需要を賄っています。また、1.5GWを超える再生可能エネルギーを運営しており、低炭素ソリューションを提供する企業です。

一方Krakenは、エネルギー業界のデジタルトランスフォーメーションを支えるプラットフォームを提供しており、数々のエネルギー企業の契約運用を支援しています。

EDFのウェブサイト
Krakenのウェブサイト