共生細菌と植物培養細胞の新たな可能性
東京理科大学の古屋俊樹教授および研究チームが、植物培養細胞と共生細菌を活用した新しい生産技術の開発を行っています。この研究の成果により、植物の本来持つ代謝能力を引き出し、医薬品や機能性素材の開発が期待されています。
研究の背景
植物は多様な有用化合物を生産し、その中には医薬品の原材料となるものもあります。これまで、植物培養細胞は、安定して化合物を生産する手段として注目されてきましたが、実際に生産可能な化合物は限られています。そのため、植物の持つ潜在的な代謝能力を引き出す新しい手法が必要とされていました。
共生細菌の重要性
研究の中で、植物の内部に生息する共生細菌、すなわち植物内生細菌に着目しました。研究グループは、コマツナから分離したDelftia sp. BR1R-2株という植物内生細菌を用いて、タバコ培養細胞であるBY-2細胞との共培養を試みました。通常、微生物との共培養では植物培養細胞の増殖に悪影響を及ぼすことが多いですが、この研究では特に増殖を妨げることがないという利点が見出されています。
研究成果とその影響
共培養の結果、BY-2細胞の代謝プロファイルが大きく変化し、植物の免疫を高めることが分かりました。BR1R-2株は防御関連遺伝子の発現を誘導し、抗菌化合物の生成を促進することが確認されました。これらの発見は、植物培養細胞の内生細菌との相互作用によって、未利用の植物代謝能力を引き出し、有用化合物を生産するための新たな手法を示唆しています。
今後の展望
本研究は、将来的に医薬品や機能性素材の開発に貢献する基盤技術としての応用が期待されています。共生細菌との共培養は、今後の植物研究における大きな可能性を秘めており、多様な植物の培養細胞への応用が進むことで、さらなる成果が得られることが期待されています。
東京理科大学は、農業や食料、環境、エネルギー問題の解決を目指した学際的な研究を進める中で、今回の研究成果を実現しました。これからも、植物培養細胞を用いた新たな研究が進展することが期待されます。これにより、植物内生細菌との共生の重要性が再認識され、今後の研究や技術開発が加速することを願っています。