銀座英國屋・再雇用の新たな形—「カムバックパス制度」の進化と導入背景

銀座、歴史ある衣服の店、銀座英國屋。1940年の創業以来、ここでは「信頼を得られる装い」を提供し続けています。この企業が最近導入したのが「カムバックパス制度」です。この制度は、退職後5年以内に再度英國屋で働くことを可能にするもので、アルムナイである元社員が自身の経験をもとに復帰を果たすことを支援するものです。

導入から3年が経過しましたが、実際にこの制度を利用して復帰した社員は1名。ですが、制度導入前から自然発生的に彼らが再度集まる文化があったため、全体としては5名の復帰者が存在しました。これは、英國屋が長年かけて築いてきた「信頼」の価値観の表れでもあります。

カムバックパス制度の背景

銀座英國屋が「カムバックパス制度」を設けた背景には、辞めた社員をただの退職者として扱うのではなく、職場の仲間として再度迎え入れるという企業の姿勢があります。このような文化は社員間の信頼関係を強化し、企業にとっても活力のある組織運営を可能とします。

本制度は、再雇用というシンプルな形式に留まらず、「いつでも戻れる場所」があることを保証するものです。そのための条件としては、退職時の待遇を維持し、健康状態が良好で、社会的な信頼も保持できることが求められます。

このような仕組みが存在することで、一度離れた社員も自信を持って再挑戦することができ、さらには組織に新たな知見や経験がもたらされます。これは特に多様性が求められる現代のビジネス界におて、重要な要素と言えるでしょう。

「働きがい」の文化を育む

「働きがい」とは、社員が自己成長を実感でき、エンゲージメントを高められる状態です。銀座英國屋では、これを4つの要素で構成しています。1つ目は「成長の実感」で、社員が試行錯誤を通じて自身のスキルを磨くことを促進しています。2つ目は「チームワーク」で、部署間の協力体制を強化することで、組織全体のパフォーマンスを向上させています。

3つ目の「公平感」は、社員が評価される際の納得感を重要視します。そして4つ目は「誇り」です。社員が自身の仕事に対して誇りを持つことが、エンゲージメントに大きく影響します。

これらの要素が相まって、英國屋で働くことが「またここで働きたい」と思える環境を築いています。

今後の展望

今後、英國屋は「カムバックパス制度」を通じて、社内コミュニティの活性化やキャリア支援体制を強化する計画です。希望者には離職後も英國屋の一員であることを感じられる仕組みを構築し、個人の成長と企業の発展を両立させる取り組みを進めます。

銀座という土地柄、英國屋は時代に流されない品質を提供し続けており、その背後には代々受け継がれた伝統と革新が共存しています。リーダーである小林英毅社長は、さらなる進化を遂げるための経営手法が求められています。彼は経営だけでなく、次世代のリーダー育成にも貢献しています。ほかの企業も注目すべきこの取り組みから、どのように企業文化を再構築できるのか、目が離せません。