InsightXが新たな成長段階へ
株式会社InsightX(インサイトエックス)は、パーソナライズを軸とするCX(顧客体験)変革AIプラットフォーム『InsightX』を提供しています。最近、同社はシリーズA 1st closeとして6億円の資金調達を実施し、2025年12月からは共同代表制を導入することを発表しました。
背景と課題
近年、ネット通販(EC)の規模は急成長しており、例えば、2024年には国内市場が約26兆円に達する見込みです。しかし、消費者が選ぶべき商品の選択肢は増加の一途を辿っており、多くの人が圧倒されている状況です。ある調査によれば、73%のユーザーが商品の選択肢の多さに悩み、商品説明や特集内容が増える中で「情報の海」に溺れるリスクも高まっています。
こうした環境では、BtoC企業は消費者ニーズに応じた適切な顧客体験を提供することが困難です。データ活用の基盤や実行プロセスが整わないまま、施策を立案せざるを得ない状況にあります。また、デザインやUXの変更毎に時間を要し、迅速な改善が進まない状況が続いています。
InsightXの提供価値
InsightXは、エンドユーザーとクライアント企業の両者にとっての課題解決を図っています。特に注目されるのが、世界初の『シェルフ型レコメンド®』というプロダクトです。これは、一人ずつ異なるインサイトに基づく商品提案を行い、顧客体験を一新します。従来のレコメンドエンジンでは実現できなかった、個別対応と訴求力の高いコンテンツを自動構築することが可能です。この革新的な技術により、クライアント企業は運用負荷を軽減し、効果的なCX改善を行えるようになります。
実績と導入効果
既にオンワード、パル、アーバンリサーチ、ルミネなど、10社以上のBtoC企業がInsightXを導入しています。導入後は、サイト全体の買い物効率が向上し、売上の増加や運用工数の削減といった具体的な成果を上げています。特に、既存のアセットを最大限に活用することで、手間をかけずに最適な顧客体験を提供ができるのも大きな強みです。
資金調達の目的と今後の展望
DNX Venturesが引受先となった今回の資金調達により、InsightXは主にプロダクト開発や営業体制の強化、優秀な人材の採用に注力します。この資金を使って、ファッション・アパレル以外の様々な業界への展開を図り、次世代の顧客体験のパーソナライズをリードしていく考えです。
共同代表制の導入
2025年12月からは、現在の代表取締役CEO中沢弘樹に加え元COOの佐竹佑基もCEOに就任します。これは、事業が拡大する中で必要とされる迅速な意思決定を実現し、成長を加速させる狙いがあります。両CEOは、リーダーシップを強化し、より高い水準での経営判断を行う予定です。
InsightXの未来
InsightXは今後、AI技術の進化とパーソナライズの進展を背景に、BtoC企業の顔を変える存在として期待されています。これからも、同社の技術やサービスを通じて、多くの企業がAmazonやNetflixのような精度での顧客体験を提供できる日を目指します。成長意欲のある企業にとって、InsightXは頼れるパートナーとして、その進化を続けていくことでしょう。