メラトニン受容体の新発見
2026-06-22 15:30:47

メラトニン受容体MT1のシグナル伝達機構解明がもたらす新たな創薬の可能性

メラトニン受容体MT1の新たな役割を解明



最近、杏林大学を中心とした研究グループが、メラトニン受容体MT1の新しいシグナル伝達機構を発見しました。この成果は、2026年5月21日に英科学誌『Nature Communications』に掲載されました。

研究の背景


メラトニンは、睡眠や覚醒を調節する重要なホルモンで、その効果は主にメラトニン受容体MT1とMT2によって仲介されています。このうち、MT1受容体は従来、cAMP濃度を低下させるGiタンパク質を介したシグナル伝達が主な役割とされてきました。しかし、研究チームはMT1がGsタンパク質経路にも関与していることを確認しました。

研究成果の詳細


研究グループは、細胞培養およびマウスの実験を通じて、MT1受容体が低濃度メラトニンではGi経路を通じてcAMPを低下させ、高濃度ではGs経路を介してcAMPを上昇させることを示しました。そして、クライオ電子顕微鏡を用いて、MT1とGsタンパク質が結合した複合体の立体構造も明らかにしました。

特に注目すべきは、MT1がGiとGsタンパク質を異なる配置で受け入れることが判明した点です。この発見により、MT1は特定のGタンパク質を選択し、異なる細胞内シグナルを誘導するメカニズムが理解されました。

MT1とMT2の違い


また、MT1とMT2の違いについても新たな洞察が得られました。研究により、MT1がGsタンパク質と結合しやすいのに対し、MT2は結合しにくい理由が第三細胞内ループの構造の違いに起因することが示されました。これらの知見は、今後の研究において、どのようにGPCRが異なるGタンパク質を選択するかを解明するための重要な手がかりとなります。

研究の意義と今後の展望


この研究は、GPCRが異なる細胞内シグナルを使い分けるメカニズム理解を深め、特定のシグナル経路を教育的に制御する「シグナル選択的創薬」への道筋を提供します。将来的には、MT1受容体の研究結果が副作用の少ない新薬の開発につながることが期待されています。研究グループは、MT1受容体がどのような条件でGsタンパク質を受け入れるのか、またそれが睡眠や概日リズムにどのように関連するのかを探求していく計画です。

この成果は、今後のGPCR研究を加速する契機となり、睡眠障害の治療法の開発にも寄与することでしょう。具体的には、特定の受容体の機能を理解することは、病気のメカニズムを解明し、より効果的な治療法の開発に寄与するのです。研究グループは、引き続きこの分野での研究を進めていく方針です。


画像1

関連リンク

サードペディア百科事典: 杏林大学 メラトニン受容体 シグナル伝達

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。