環境に配慮した航空機用内装材の新たな挑戦
航空業界は、2050年までにカーボンニュートラルを実現するべく、さまざまな取り組みを進めています。その中でも、住友ベークライト株式会社は新たに、バイオマス由来のPFA(ポリフルフリルアルコール)を使用した難燃性プリプレグの開発に成功しました。この素材は航空機の内装材など、高い難燃性が求められる分野において、環境負荷の削減と安全性を両立するという新しい解決策を提供します。
開発の背景
航空業界では、国際的な団体であるIATA(国際航空運送協会)やICAO(国際民間航空機関)が設定した2050年カーボンニュートラルの目標に向かって、主要航空機メーカーが積極的に脱炭素化を進めています。しかし、航空機の軽量化を目的としたFRP(繊維強化プラスチック)の導入が進んでいる中で、石油由来の原材料の使用削減が課題となっています。特に、リサイクルが難しい熱硬化性樹脂の製造には、バイオマス素材の利用が求められています。
住友ベークライトの取り組み
住友ベークライトは、非可食バイオマス由来のPFA樹脂を使用し、その製品群のブランド名を「sbPFA®」と定めました。さらに、このPFA樹脂をバインダーとして利用したプリプレグを開発しました。このプリプレグは、航空業界の脱炭素化に寄与することを目指し、CO2削減と持続可能な製品開発を促進しています。
本プリプレグは、石油由来のフェノール樹脂と同等の機械的強度を持ち、航空機内装品に要求される高い難燃性および低煙性・低毒性基準(FST基準)を満たしています。さらに、14 CFR Part 25に準拠したOSUヒートリリース試験でも、石油由来のフェノール樹脂との性能差はほとんど見られませんでした。
環境へのメリット
PFAの重合からプリプレグ化までを一貫して行うことで、カーボンフットプリント(CFP)を43%削減することに成功しました。これにより、環境への負担を軽減しながら、航空機内装材や自動車バッテリーなど、難燃性が求められる複数の用途に有用な素材を提供しています。
sbPFA®の製品特徴
1.
環境負荷の低減と企業価値の向上
従来のフェノール樹脂プリプレグに比べ、CFPの大幅な削減が可能なsbPFA®。このことは、航空業界が掲げるカーボンニュートラル目標の達成には大きな意味を持つと共に、企業のESG評価やブランドイメージの向上にも寄与します。
2.
高い安全性と操作の互換性
本製品は、航空機内装材にとって不可欠な優れたFST性能を持ちつつ、従来のフェノール樹脂プリプレグと同じ製造プロセスで扱えるため、新たな設備投資を必要とせず、製造効率を保ちながら安全性の高い製品を提供できます。
持続可能な社会への貢献
住友ベークライトが手掛けた本製品は、SDGs(持続可能な開発目標)の「責任ある消費と生産」に貢献しています。非可食バイオマスPFA樹脂の利用は、資源を効率的に使用し、環境への影響を低減することを目指しています。また、高いFST性能は社会の安心・安全に寄与し、より良い未来を向けた取り組みと言えるでしょう。
今後の展望
現在、本製品は試作段階であり、一部の航空機メーカーへサンプルの提供を行っています。今後の顧客評価を経て、2028年の量産開始を目指していく意向です。航空機分野に限らず、自動車バッテリーなど様々な用途へ展開が期待されるこの新素材に、多くの注目が集まっています。
詳しい情報については、住友ベークライト株式会社のマテリアルズソリューション営業本部マーケティング部までお問い合わせください。