異業種共同輸送の取り組み
2023年8月、YKK AP株式会社、大王製紙株式会社、北陸コカ・コーラボトリング株式会社の3社は、商品輸送の効率を高めるための共同輸送を始めました。この取り組みは、各社がそれぞれの工場から顧客に商品を届ける際の非効率な輸送方法を見直し、物流の合理化を目指すものです。
背景
これまで、各企業は各々の工場からの便で商品を運ぶ「片荷輸送」が行われていました。つまり、行きは荷物を積んで輸送する一方、帰りは空のトラックで戻るという非効率な運行が続いていました。この状況を改善するために、大王製紙の物流部門であるダイオーロジスティクス株式会社が中心となり、異業種間で共同運行を行うこととなりました。
共同輸送の内容
共同輸送によって、各社は物流の拠点をつなぐ運行ルートを構築しました。この結果、空車での輸送距離が大幅に短縮され、実車率が向上。具体的には、北陸から埼玉、静岡を経由しても、従来の実車率50%から91.7%にまで向上したのです。この実車率の改善により、CO2排出量は年間71.6トン、運転時間では約1992時間の削減が見込まれています。
物流の効率化に向けた認定
本取り組みは国土交通省の物流効率化法に基づく認定を受けており、モーダルシフト等推進事業としても認められています。この法的なバックアップを受けたことで、より広範な支援を受けることができ、持続可能な物流の実現に向けたさらなる一歩となります。
各社の取り組み
YKK AP株式会社
YKK APは、2016年から新型輸送パレットの導入やトラックドライバーの待機時間削減など、効率的な物流体制の強化に尽力してきました。共同輸送の導入により、物流業界が直面している問題を解決し、新たなビジネスチャンスとして捉えています。将来的には、サプライチェーン全体の最適化を図り、さらなる効率化を追求します。
大王製紙株式会社
大王製紙は「衛生」「人生」「再生」をテーマに、社会課題に対する解決を目指しています。物流の改善はもちろん、人と環境に優しいビジネスモデルを構築し、エリエール商品を安定して供給するための活動を続けていく方針です。
北陸コカ・コーラボトリング株式会社
北陸コカ・コーラは、トラック不足の問題を解決すべく、共同物流を行うパートナー企業との連携を進め、効率的な輸送体制を構築しています。自社の飲料をスムーズに顧客に届けるため、物流の見直しを図る姿勢を示しています。
今後の展望
YKK AP、大王製紙、北陸コカ・コーラの共同輸送プロジェクトは、持続可能な物流に向けた重要な一歩となるでしょう。この取り組みを通じて、物流業界全体の効率化が図れ、環境負荷の低減にも寄与することが期待されています。今後の進展からも目が離せません。