高齢者と若者が共創する新たな未来「iCoRP」
東京都墨田区に位置する情報経営イノベーション専門職大学(iU)が、新たに立ち上げたプロジェクト「iCoRP(世代間共創ラピッドプロトタイピング)」が、公益財団法人長寿科学振興財団の助成を受けて始動します。このプロジェクトは、急速に進む高齢社会において、高齢者と若者が共にAI技術を活用し、社会課題を解決することを目指しています。
背景と社会課題
日本は2040年までに約35%の国民が65歳以上となるという超高齢社会に突入します。しかし、AI技術の開発は主に若年層を中心に進み、高齢者の視点やニーズがほとんど考慮されていません。そのため、多くの高齢者がデジタル環境への適応に苦しんでおり、実際のデータによると、60代の生成AI利用率はわずか15.5%にとどまっています。これにより、約2000万人以上の高齢者がデジタルデバイスに不慣れなままの状況が続いています。彼らの生活を豊かにするためには、その視点を積極的に取り入れたAIの開発が必要です。
iCoRPの理念とアプローチ
「iCoRP」プロジェクトの最大の特徴は、高齢者を単に「教えられる側」や「ユーザー」として捉えるのではなく、共にAIをデザインする「共同デザイナー」として位置づけることです。高齢者が持つ豊かな知恵と経験を、若者たちの持つ技術力と組み合わせることで、社会に役立つ真に使いやすいAIソリューションを生み出します。
プロジェクトの主な取り組み
このプロジェクトでは、以下のような具体的な取り組みが行われます:
1.
学習セッション(基礎):高齢者が若者のサポートを受けながら、AIについての知識やスキルを体験的に学ぶ。
2.
学習セッション(対話):iUが開発したプロトタイプを用い、高齢者と若者が共に対話・議論を行い、高齢者の生活課題を深く探る。
3.
共創セッション:高齢者と若者が一緒にデザインセッションを行い、高齢者のニーズを反映したAIプロトタイプの開発を行う。
4.
ビジネスプランコンテスト:若者が高齢者ニーズを元にしたAIビジネスプランを競い、優れたプランにはプロトタイピング支援が行われる。
iUの強みと未来への展望
iUは、学生の起業エコシステムを構築しており、2024年度の学生起業率は全国最優秀の5.59%を記録しています。"iCoRP"プロジェクトは、この強みを活かし、学生たちが高齢者と共に新しいビジネスやアイデアを創出することを目指します。
プロジェクト終了後には、iU発のスタートアップとの連携が進み、2026年には高齢者ユーザーテストラボを設置する予定です。これにより、高齢者のリアルなフィードバックを収集し、今後のAI開発に活かしていくことが可能になります。
教授と学長からのコメント
プロジェクトリーダーの椚田尚亨教授は、「日本が直面している超高齢社会の課題は、逆に新たなチャンスでもあります。高齢者を共同デザイナーとして取り入れることで、AI開発を加速させたい。」と述べています。 さらに、中村伊知哉学長は、「今回のプロジェクトは、若者が高齢者と共に学び合うことで、社会全体の知恵をつなげる試みです。」と期待を寄せています。
このような取り組みを通じて、iUは高齢者と若者が共に未来を切り開く一歩を踏み出すことを目指しています。