太陽光パネルを再利用
2025-09-01 12:58:43

太陽光パネルの廃棄物をオフィス家具に再利用するアップサイクル事例

環境に優しいオフィス空間の実現へ



環境問題が深刻化する中、持続可能な社会の実現は急務となっています。その一環として、株式会社イトーキ、株式会社日立製作所、そして株式会社トクヤマの3社が共同で、太陽光パネルから回収した廃棄板ガラスを活用したオフィス家具のアップサイクル実証に取り組んでいます。このプロジェクトは、環境負荷を減少させるだけでなく、新たなデザイン性や使用価値をもたらすことを目指しています。

プロジェクトの背景



2030年代以降、使用期限を迎えた太陽光パネルの廃棄が日本国内で年間約50万トンに達すると見込まれています。この状況下で、ヨーロッパ連合(EU)を筆頭に各国がリサイクル義務化に向けた法整備を進めています。再利用可能な部材として、太陽光パネル内の板ガラスは重量の約60%を占めており、リサイクル率を向上させるためにはその再利用が極めて重要です。

アップサイクルの技術



このプロジェクトでは、トクヤマが開発した低温熱分解法を用いて、高品質の板ガラスを回収します。この技術により、使用済み太陽光パネルからガラスを効果的に抽出し、日立が開発した非破壊強度推定技術によって、回収したガラスの安全性と耐久性を確保します。これにより、品質劣化の要因を詳細に評価しつつ、家具部材として再利用することが可能となります。

イトーキは、回収したガラスの特性を活かしたWeb会議ブースの試作を行いました。複数サイズのガラスを結合し、強度を持たせたパネル構造を設計することで、視覚的な遮断効果を生むとともに安全性も考慮されています。

環境へのインパクト



この取り組みの成果として、回収されたガラスを利用した家具は、新規にガラス製品を作る場合と比較して、最大50%のCO₂排出量削減が見込まれます。この成果は、持続可能なオフィス環境を実現するための重要な一歩といえるでしょう。

今後の展望



今後、イトーキ、日立、トクヤマは、オフィス家具のみならず、建材といった多様な分野においても、アップサイクル技術の実用化を進めていく予定です。さまざまなパートナーシップを通じて、新しいサプライチェーンの構築や事業モデルの検討を進め、より多くの企業が持続可能な社会の実現に寄与できるよう尽力します。

このプロジェクトの成果は、2025年度資源・素材関係学協会合同秋季大会でも発表される予定です。環境に配慮したデザインと機能性を追求することで、持続可能な未来へ向けた新たな価値を提供していきます。


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