バランスの取れた職場を目指して
複雑化する現代の人材市場において、人事部門の役割はますます重要になっています。2023年12月5日、ランスタッド株式会社が実施する「性的指向と性自認(SOGI)への対応スキル強化研修」がその一環です。この研修は、まず人事担当者に特化して行われ、全社的な人材育成の基盤を築き、最終的には社会全体への影響を目指すものです。
人事部門における課題
ランスタッドが世界21か国で行った「タレントトレンドレポート2025」によると、多くの経営者が人事部門の役割が戦略的に変化していると感じっていますが、依然として人事が重要な議論の場に参加するタイミングが遅すぎると感じているケースが目立ちます。このため、業種ごとに人事向けの研修が優先される声も増えています。
特に日本では、Z世代の職場における差別の経験が深刻な問題となっており、46%が職場で差別を経験し、31%が自身のセクシュアリティや性自認が原因で退職したことがあるとされています。これらの調査結果は、日本におけるセクシュアリティについてのオープンな議論がまだまだ浸透していないことを示しています。
具体的な現場課題
このような現状を踏まえ、ランスタッドは事前に社内の当事者社員や人事部門の各リーダーからヒアリングを行い、現場での具体的な課題を特定しました。候補者がカミングアウトする際に面接官が驚いたり、企業の理解が「目に見えない形」で表現されないために候補者が安心できないことが一つの課題です。また、戸籍上の性別と本人が認識する性別が異なる社員への対応方法についての迷いや疑問も多く、人事部門がこれらの問題にどう対処するかが求められています。
SOGI研修の内容
このSOGI研修は、認定NPO法人虹色ダイバーシティの小河とも氏を講師に招き、約50名の人事部門のスタッフを対象に、オンラインと対面のハイブリッド形式で実施されます。研修は90分間で、基本的な知識の習得にとどまらず、受講者が「具体的なアクション」を理解し、実行できることを目指しています。
本研修の内容は、単に人事部門に留まらず、採用担当者やビジネスサイドの社員へと展開する計画もあります。当初の人事部向け研修から得た知見を共有し、多様な人材が安心して働ける環境を整えていくことが最終的な目的です。
ランスタッドのビジョン
ランスタッドは、「世界で最も公平で専門性を備えた人材サービス会社になる」というビジョンのもと、多様性を重視しています。この研修を通じて、人事担当者がすべての人材が安心して働ける職場環境を作り出すために必要な知識と視点を身につけることが期待されます。
さらに、今後はこのノウハウをビジネスサイドにも展開し、ランスタッド全体として真の公平性の実現を目指して進んでいく予定です。多様な人材が各々の能力を活かし、有意義な仕事に従事できる社会の実現に向けて、ランスタッドは積極的に取り組んでいきます。