Z世代が語る退職意向、職場のやりがい不足問題に迫る

Z世代の退職意向に関する調査結果

最近の調査によると、Z世代の新卒3年目までの社員において、約68%が「いずれ辞めたい」と考えていることが明らかになりました。これは人事プロフェッショナルブティック「CORNER」を運営する株式会社コーナーが行ったもので、514名を対象にしたものです。この現象の背景には、転職活動の心理的負担や次のキャリアの不確実性があるとされています。

調査の背景

調査は2025年8月29日から9月4日の間に実施されました。集まったデータは、Z世代の新卒社員の労働実態を把握し、継続・退職意向の分析を目的としています。調査対象は1996年以降生まれた新卒入社の正社員で、入社してから3年未満の人々でした。

退職志向の実態

具体的に見ていくと、回答者の中で41.6%が「1〜3年以内に辞めたい」と述べており、さらに26.5%が「時期未定だが辞めたい」と返答しています。これにより「いずれ辞めたい」との意向を持つ層が圧倒的に多いことがうかがえます。

転職活動を躊躇する理由としては、心理的負担や事務的な手続き、さらには将来の選択肢が不明確であることが挙げられています。このような不安が新卒社員の辞職を思いとどまらせている要因です。

働きやすさとやりがいのジレンマ

さらに興味深いのは、退職志向を持つ社員の不満の多くが「やりがい」に関連している点です。調査で得られたデータによれば、60%の回答者が「やりがい不足」を実感しているのです。具体的には「働きやすいがやりがいがない」と感じている人が多く、やりがいの感じられない状況が影響していることが浮き彫りになっています。

一方で、残留の理由とされる「成長・学び」「目標をやり遂げたい」といった前向きな意見は相対的に少なく、退職意向に至る背景はより深刻と言えます。

現在の労働実態

調査結果の一部には労働環境に関する情報も含まれています。直近の3ヶ月間において、「月9時間未満」の残業をしている社員が51.5%と過半数を占め、長時間労働をしている人は少数派でした。それにもかかわらず、やりがいの不足感から転職を考える社員が多くいるという矛盾が指摘されています。

結論と考察

今回の調査は、Z世代が就業を「辞める前提」であることを示唆しており、企業はこの傾向を無視することはできません。特に「辞めていない＝定着している」という考え方は誤りであることが明らかになりました。企業は、早期の兆候を捉え、やりがいや手応えを感じられるような人事制度の再構築に取り組む必要があります。

新卒社員の定着を促すために、企業は労働環境や評価制度、やりがいの提供を見直すことが求められています。現に、株式会社コーナーの代表である門馬貴裕氏は、企業は組織を変えるための努力を続け、若者たちの声に耳を傾けるべきだと強調しています。