背景
近年、私たちの生活に欠かせない飲食業界が厳しい状況に直面しています。食材の高騰や人件費の上昇にともない、多くの飲食店がその影響を受けています。特に、食材高騰の影響を受ける店舗は4割以上に上るとの調査結果が発表され、その実態が浮き彫りになっています。今回の調査を実施したのは、デジタル業務効率化を行う株式会社インフォマートです。
調査概要
今調査は、飲食店に勤務しメニュー価格の改定に最終決定権を持つ309名を対象に限られています。対象者に対して、食材の受発注管理やメニュー価格の改定に関する現状について聞きました。調査は2026年5月に実施され、結果は今後の飲食業界における重要な指標となるでしょう。
デジタルツールの導入状況
調査によると、飲食店における食材の受発注管理に関するデジタルツールの導入状況はまだ低く、導入が進んでいるのは25.6%のみです。また、デジタルツール未導入の店では、43.5%が理論原価と実原価の乖離を把握できていないとのことです。デジタル化は原価管理の精度に直結しており、導入した店では92.4%が原価を把握しています。一方、未導入店では76.5%に留まり、情報の透明性についての危機が浮かび上がっています。
メニュー価格改定の現状
食材高騰に対して、実際にメニュー価格の改定を実施しているのは55.9%に過ぎません。調査対象のいずれも、現在の食材仕入れ価格が上昇していると認識しており、特に「10%〜20%未満」の上昇を感じている店舗が多いようです。しかし、経営者や責任者の経験や勘に基づく判断も見受けられ、客観的なデータに基づかない価格決定が行われがちです。
高騰対策の実態
メニュー価格の改定以外にも、高騰に対する対策を行っている飲食店としては、「仕入れ先の見直し」が最も多く選ばれています。続いて「安価な代替食材への切り替え」や「ポーションの縮小」など、コスト削減を図る工夫がなされていますが、根本的な解決策には至っていないのが現状です。
食料システム法の影響
2026年4月には新たな食料システム法が施行され、飲食店も一層の価格透明性が求められることになります。しかし、価格交渉において客観的な根拠を提示できる店舗は28.8%に留まり、これもまた業界全体の準備が遅れていることを示しています。特にデジタルツールの活用が少ない店舗では、交渉力に乏しいことが顕著に現れ、競争力を保つのが難しい現実が浮き彫りになっています。
結論
今回の調査から、飲食業界が抱える厳しい現状が再確認されました。多くの店舗がコストが上昇する中で、利益を維持するための模索を続けています。デジタル化を進めた店舗では、原価把握の精度が高く、交渉力も向上することが分かりました。持続可能な成長を実現するためには、今後の業界改革とそれに伴うデジタル技術の導入が不可欠であると言えます。これからの飲食業界がより良い方向に進むためには、根本的な対策や取り組みが求められる時期に来ているのです。