愛されるブランドのつくり方を探る、特別な夜
2025年11月12日、渋谷のKOBUSHI BEERで行われた特別勉強会「ブランドの“体温”をどう伝えるか」では、業界のトップマーケターである土井地博氏(ビームス執行役員)と久保田夏彦氏(元ナイキ・アダストリア)をゲストに迎えて、約20名の現役マーケターが集まりました。彼らは、教科書通りではない、現場での本音を中心に、ブランドがどのように顧客の心をつかむかを熱く議論しました。
開催の背景
この会は、KOBUSHI MARKETING代表の井上裕介氏の思いから生まれました。「代理店に頼るだけでなく、自社のブランドを動かす実務家同士が本音で語れる場を作りたい」という志から、渋谷ブランドマーケターコミュニティが発足。ファッションとカルチャーの最前線を走るビームスと、グローバルブランド・ナイキでの経験を持つ久保田氏が交わることで、「ファンを惹きつけ続ける仕組み」を深掘りする機会が提供されました。
対談のハイライト
1. ライフワーカーとしての生き方
対談は、土井地氏が自身の働き方について語ることから始まりました。「仕事とプライベートを分けるのではなく、人生そのものを楽しむライフワーカーでありたい」と彼は述べ、働くことそのものが人々のライフスタイルに組み込まれることの重要性を説きました。
久保田氏もこれに賛同し、ビームスが提案するライフスタイルの観点から、働くことと私生活が融合することが自然であると語りました。
2. アナログ体験の価値
次に、デジタル全盛の時代における「リアルな体験」の重要性が話題に上りました。土井地氏の体験談として、地元の隠れたお好み焼き屋での成功事例が紹介され、体験そのものがブランドへの愛着を生む要素であると強調されました。「クリック一つで物が届く現代だからこそ、手間をかけることへの重要性が再認識されています」と彼は語ります。
3. ブランド選択肢の理論
土井地氏は「10本指理論」を提唱しました。人々が日常的に選択するブランドはわずかに10個程度であり、その中にいかに自ブランドを取り込むかが重要であるとしました。「信頼とストーリーで選ばれることこそが、マーケティングでの究極の目標です」と久保田氏は補足します。
4. 店舗の劇場化
最後に、店舗戦略についての議論では、土井地氏が店舗を“劇場”へと変えるべきだと提案しました。「買い物をする場だけではなく、スタッフや他のお客様との交流の場であるべき」とし、顧客体験の質がブランドの寿命を延ばすと述べました。
5. 次回の展望
次回のイベントは2026年1月16日予定で、国内ブランドのコミュニケーションを手がけるマーケターが登場するそうです。どのようにブランドが選ばれるかの議論が予定されています。
参加者の反響
参加者からは、「理論を超え、現場の生の声が聞けた」「非効率な部分こそがブランドの熱源であることに気づけた」など、非常に前向きな意見が寄せられました。少人数制のため、密度の濃い時間を過ごし、次回にも期待が寄せられています。
今後の取り組み
今後も渋谷ブランドマーケターコミュニティは、実務者に限定したクローズドなイベントを定期的に開催していく予定です。公式SNSで最新情報を発信予定ですので、ぜひご注目ください。
登壇者プロフィール
【土井地 博】
(株)ビームス 執行役員 シニアクリエイティブディレクター。20年以上にわたり、ブランドのビジネスモデル構築やイメージ向上に携わってきました。
【久保田 夏彦】
Kubotech代表 / 元ナイキジャパン・アダストリア CMO。数々のブランドを率いて、マーケティング戦略に関する知識を深めています。
まとめ
今回は、ブランドに対する熱意と視点の違いを知る貴重な機会となりました。また、次回のイベントへの期待も込めて、より多くの実務者が集まることを願います。より良いブランドに向けての一歩を一緒に踏み出しましょう。