日本語に特化したAIシステム「Archaic RAG」が業務文書の新時代を切り開く

Archaic RAGシステムAIの登場

東京都渋谷区に本社を置く株式会社Archaicが、業務文書に特化したAIシステム「Archaic RAG」を開発しました。このRAG（Retrieval-Augmented Generation）システムは特に日本語の文書構造を理解することに力を入れており、複雑な構造を持つ業務文書に対応することが可能です。この技術は、図表や注釈を含む多様な情報を精密に処理し、自然な回答を導くことができる点が特長です。

Archaic RAGの独自技術

RAGは基本的に情報の検索と生成を行いますが、ArchaicのRAGではその枠を超え、構造理解を重視しています。その核心には2つの独自技術が存在します。まずは文書解析エンジン（Parser）です。この技術によって文書内の文章や図・表・画像が自動的に抽出され、構造や意味に基づいて分解されます。これにより、従来のAIでは理解できなかった非構造文書も、生成AIに分かりやすく変換されます。

次に紹介するのはTree-Data構造という情報階層化技術です。この技術によって抽出された情報は、文脈や関連性を保持した階層構造で管理されます。これにより、文章と図、表と注釈などの関係性をしっかりと維持しながら情報が整理され、正確で意味のある出力が実現されます。

一般的なRAGとの違い

多くの一般的なRAGシステムは文章のみを扱い、図や表が含まれる文書では文脈の欠如や情報の欠落が目立っていました。ArchaicのRAGは、これらの複雑な情報も包括的に処理することで、情報の網羅性と正確性を飛躍的に向上させています。その結果、様々な業界での業務文書の正確な理解と情報の生成が可能となり、多くの企業が抱える課題を解決する助けとなっています。

性能評価の実施

Archaicでは、公開された日本語RAG評価データセットを使用してこのシステムの性能評価を行いました。この評価には、金融、情報通信、製造、公共、流通・小売の5業種にわたる300のQ&Aペアが含まれており、それぞれの業界での正答率が算出されました。結果として、製造業カテゴリでは91.7%の正答率が記録され、全体の平均を89.3%としています。これらの数値は、Archaic RAGが業務文書の処理においてトップクラスの性能を持つことを示しています。

今後の展望

Archaicは、今後さらに業務の最適化を進めていく計画で、業種別に合わせたテンプレートの開発や、非構造文書向けのAIサービスを提供することを目指しています。また、データセットの共同拡充によってRAGの評価指標を確立し、導入がスムーズに行えるような指針作りにも取り組んでいくそうです。

株式会社Archaicの代表である横山淳氏は、「AIの活用がより身近なものとなり、業務知識の民主化が進むことを望んでいます」と述べています。今後、彼らの技術がどのように業界に影響を与えるのか、目が離せない状況です。