住友重機械工業、バンコク病院向け陽子線治療システムを受注
住友重機械工業株式会社(住友重機械)が、バンコク病院本院の「ワタノソットがん病院」に次世代陽子線治療システムを受注したことが発表されました。このシステムは、タイ・バンコクに新設される「陽子線治療センター(仮称)」に導入され、2029年から本格的に陽子線治療が始まる予定です。これは、住友重機械にとって東南アジア地域における陽子線治療システムの初めての受注となります。
進化した陽子線治療システム
受注された次世代陽子線治療システムは、最新技術を駆使した革新的なもので、マルチルームタイプの治療室を有しています。このシステムは1つの加速器を複数の治療室で共有でき、360度の照射が可能な回転ガントリーを備えているため、非常に効率的です。さらに、設置に必要な建屋体積を従来の機器と比べて約30%削減できるコンパクトな設計が特長です。
また、360度回転ガントリーには広視野コーンビームCTが搭載されており、高精度な患者の位置決めを実現するとともに、肺や肝臓などの動く臓器に対しても高速スキャニング技術を用いることで短時間での照射が可能です。この結果、精度の高い治療が実現します。
がん治療の最前線
陽子線治療は、がんに対する新しい放射線治療法の一つであり、腫瘍細胞を狙って水素イオン(陽子)を照射することにより、腫瘍細胞を破壊します。この方法の大きな利点は、副作用を軽減しながら患者の社会生活を維持できる可能性があることです。住友重機械は、がん治療分野での国際的な貢献を目指し、特に東南アジア地域での普及促進を図っています。
バンコク病院と住友重機械のパートナーシップ
バンコク病院は、タイ国内で約60の病院を運営する、タイ最大の民間病院運営会社Bangkok Dusit Medical Services PCL社が運営しています。2005年に設立された「ワタノソットがん病院」は、専門医チームが高度な医療技術と最新の診断機器を使い、包括的ながん治療を提供しています。この強力なパートナーシップにより、住友重機械とバンコク病院は、地域のがん治療水準を大幅に引き上げることを目指しています。
将来的には、さらなる治療室の増設も視野に入れているとのことです。この新しい陽子線治療センターが完成すれば、より多くの患者に対して救命の可能性を提供できるようになり、バンコクだけでなく、東南アジア全体の医療に貢献することが期待されています。住友重機械工業は今後も地域社会の健康と長寿を実現するために、一層の努力を続けていきます。