セブン銀行がAIを活用し電話対応を効率化
近年、カスタマーサポートの業界では、AIの導入が進んでいます。その中でも、株式会社セブン銀行が導入したカスタマーサポート特化型AI「KARAKURI」シリーズは、多くの注目を集めています。2023年10月、セブン銀行のコンタクトセンターにおいて、電話対応の比率が50.1%から28.7%に減少し、ノンボイスチャネルの比率が71.3%に達しました。この背景には、顧客体験の向上とオペレーション効率化を目指した取り組みがあります。
導入背景と課題
導入に至った背景には、顧客向けのUX改善とオペレーターの業務効率化がありました。以前は、問い合わせの導線が複雑で、チャットボットや有人チャットといったノンボイスチャネルの利用が難しいとされてきました。そこで、「ノーコードでのスピーディーなカスタマイズ」「複数チャネル間のデータ連携」「顧客の負担軽減」といった機能を持つ「KARAKURI」を採用することを決定しました。
効果的な導入とともに実現したシステム
「KARAKURI」シリーズの導入以降、セブン銀行の問い合わせ対応チャネルは大きく刷新されました。AIチャットボット「KARAKURI chatbot」の設置やWeb接客機能「KARAKURI hello」、オペレーター支援ツール「KARAKURI assist」などが導入されたことで、呼び出しの流れの簡素化が実現しました。
導入効果
導入の結果、チャットボットを通じた対応件数は、月あたり6万件から26万件に急増しました。具体的には、電話対応を必要としない問い合わせが増加し、総問い合わせ数が増える中でも電話対応の比率が大幅に減少したのです。特に、電話の応答率が安定したこと、そして顧客の自己解決を促進するノンボイスチャネルの利用が進んだことは大きな効果としていただけたでしょう。実際、2024年上期にはノンボイスチャネルの割合が70%を超えています。
ノンボイスチャネル拡大のための工夫
この成果を上げるための工夫の一つとして、ノンボイスチャネルの利便性を向上させるために、言語選択の自動化が挙げられます。エンドユーザーの端末に合わせて、使用する言語が自動的に選択されるため、求められる情報が格段に入手しやすくなっています。また、チャットボットから有人チャットに切り替わる場合でも、データがスムーズに引き継がれ、顧客は再度同じ質問をする必要がなくなります。
さらに、FAQページと連携したチャットボットが、訪問者が抱える困り事を積極的に提案する流れを強化しました。これによって、無駄な時間を省き、困ったことがすぐに解決できる環境が整っています。
セブン銀行の未来への期待
セブン銀行のバンキング統括部グループ長、山田陽子氏は、「KARAKURI」を導入した結果、電話対応率の減少のみならず、社内外でのコンタクトセンターの取り組みが広く知られるようになったと感じています。その中で、特に「セボン」というキャラクターの導入が親しみやすさを提供し、SNSでも話題に数多くの情報交換が行われています。
これらの取り組みを通じて、カスタマーサポートの分野に革命が起きていることを実感し、今後もカラクリとのさらなる連携で、人でしかできない部分への取り組みを続けていく決意を示しています。
まとめ
セブン銀行の進化は、ただのAI導入に留まらず、顧客体験を向上させるための多面的なアプローチによって実現されています。今後も、さらなる革新が期待される中、顧客と共に築く未来の金融サービスがどう変わっていくのかが注目されます。