建設業界の受注動向を探る – 令和7年10月の統計結果から

建設工事受注動態統計調査報告

国土交通省が実施する「建設工事受注動態統計調査」では、日本の建設業界における受注状況を月ごとに把握し、基礎となる資料を提供しています。この統計調査は、約48万社の建設業者から、毎月約1万2千社を対象に実施され、その内容は発注者別、業種別、工事種類別、地域別に整理されています。令和7年10月分の調査結果が先日公表され、その内容を詳しく解説していきます。

令和7年10月の受注動向

令和7年10月の調査によると、建設業全体での受注額は前年同月比で増加しています。この結果は、公共工事と民間工事の両方において見られ、特に公共工事の割合が大きいことが特徴です。公共機関からの発注が活発化しいることが、業界全体の景気を押し上げる要因となっています。

業種別の受注状況

業種別に見ると、土木工事が大きなシェアを占めており続けていますが、建築工事も徐々に回復基調にあります。また、環境関連の工事や再生可能エネルギーに関連する工事の需要が高まっているのも、近年のトレンドです。このような流れは、持続可能な社会を目指す観点からも重要な意味を持っています。

地域別の受注状況

地域別に分析すると、都市部では受注の増加が見られる一方で、地方では依然として厳しい状況が続いています。特に、人口減少が進む地域では公共投資が減少し、民間投資も厳しい状況にあるため、地域ごとの格差が広がっていることが懸念されています。

今後の見通し

令和7年度に入ってからの建設業界は、景気全体が回復基調にあるものの、インフレや資材高騰といった外部要因が影響を及ぼす可能性があります。特に資材の確保が難しくなることで、実際の施工に遅れが出ることが予想されるため、業界全体の動向に注視する必要があります。

そのため、経済の動向、政府の公共事業の発表、新しい技術や材料の導入が今後の受注状況を大きく左右することになるでしょう。特に、建設業がDX（デジタルトランスフォーメーション）を進めることが求められており、これにより作業効率の向上が期待されます。