EVバッテリー診断システムによる未来のモビリティ
オリックス自動車株式会社(東京都港区)とEVolity株式会社(東京都中央区)、さらにパナソニックホールディングス株式会社(大阪府門真市)が手を組み、2025年7月から共同で実証実験を始めることが明らかになりました。この実証実験は、リースやレンタカーとして使用された電気自動車(EV)のバッテリー劣化診断を行い、その結果をもとに中古EVの二次流通価値を向上させることを目指しています。
実証実験の目的
本実証実験の主な目的は、オリックス自動車が運営する中古車の入札会において、EVバッテリーの診断書を付与された車両を出品し、その入札価格や残存価値に与える影響を検証することです。現在、中古EVの市場は、性能やバッテリー品質の評価が整っていないため、内燃機関車と比較して価格が低くなる傾向があります。
これに対処するため、参加企業は客観的なバッテリー評価の仕組みを確立し、EV取引の信頼性を高めることに取り組みます。参加する企業は、オリックス自動車が出品したEVに対して診断書を提供し、これに関する入札会員からの意見を収集します。
参与企業の役割
- - オリックス自動車:リースやレンタカーとして利用した後のEVの出品を行い、その入札会における参加者の意見を集めます。
- - EVolity:EVバッテリー劣化診断システムを用いて、バッテリーの診断及び診断書の発行に関与します。
- - パナソニックHD:バッテリー劣化診断を行うための技術開発を担い、得られたデータを提供します。
EVバッテリー劣化診断システムの特長
EVolityが開発した診断システムは、スマートフォンアプリを利用してバッテリーの劣化度を迅速に判定できる点で注目されます。特にバッテリーが充電器と接続されていない状態でも診断ができ、わずか10秒程度で結果が得られるため、手間がかかりません。このスピーディな手法により、より多くの利用者が簡便にバッテリーの状態を把握できるようになります。
診断書の項目
診断書には、
SOH(State of Health)や
電池長寿命グレードなど、バッテリーの劣化度や使用環境に則した指標が記載されます。この情報は、中古EVの市場価値を適正に評価するための重要なデータとして機能します。
中古EV市場の現状と課題
現在、日本の中古EV市場は、充分な評価システムが存在していないため、内燃機関車と比較してリセール価格が依然として低く設定される傾向にあります。このような背景が、EVのリース料金を高騰させ、導入の障壁になっていると言われています。本実証実験を通じて、企業は中古EVの良好な評価制度を構築し、EVの価値をより一層引き上げ、需給のバランスを整えることを目指しています。
最後に
オリックス自動車、EVolity、パナソニックHDが共に取り組むこの実証実験は、EV市場の活性化に向けた新たなステップです。今後の展開に注目が集まる中、電気自動車の普及が進む未来に向けて、大きな影響を与えることでしょう。これにより、中古EVの取引が活性化し、電動モビリティの選択肢が広がることが期待されます。