2025年問題が引き起こす家じまいの現実
2025年、日本は超高齢化社会に突入します。この年には国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となり、様々な社会問題が浮上することが懸念されています。特に、不動産市場においては、相続を理由とした売却査定の依頼件数が急増しています。今回はLIFULL HOME'Sの調査結果をもとに、相続に伴う売却査定の実態や今後の動向について詳しく見ていきましょう。
売却査定依頼が増加
LIFULL HOME'Sによる調査によれば、相続を理由とした売却査定の依頼件数は、3年間でなんと2.30倍に増加しました。また、その中でも最も件数の増えた地域は東北で、2.74倍に達しています。九州や北海道も続き、このトレンドは全国的に見られます。
物件の年数と種類
調査によると、売却を検討している物件の多くは、築41〜50年のものが約4割を占めており、築31年以上の物件が全体の8割を超えています。物件の種別では「一戸建て」が66.5%を占め、その後に「土地」が25.1%、マンションが6.7%と続きます。築年数が経つほど価格相場が下がる傾向にありますが、地域や物件の種類によってその幅は異なります。
売却を急ぐ人の増加
「相続」を理由にした売却査定依頼では、約86%が売却完了を「1年以内」に希望しています。特に「早急に」という声も多く、新たな生活環境を模索する人々の思いが表れています。一方で「1年以上先」は微増傾向にあり、時間に余裕を持った売却を考える人も増えています。
相続不動産の登記義務化とその影響
2024年からは相続した不動産の登記が義務化され、いわゆる“家じまい”の重要性はさらに高まります。これは、核家族化や単身世帯の増加が影響しており、実家や相続した不動産をどのように扱うかが大きな課題になっています。
大切な思い出のある実家を売却することにはためらいがあるものの、そのまま放置しておくと固定資産税が最大6倍にまで跳ね上がるリスクがあります。特に「特定空き家」に指定されると特例を受けられず、税負担が重くのしかかります。3,000万円の特別控除を活用するためには、相続後3年以内に対策を講じる必要があります。
空き家の対策としては、まずは家族で話し合い、必要なアクションを決めることが求められます。相続する側も、持ち家の活用方法や売却の必要性について考慮することが大切です。
今後の動向
LIFULL HOME'Sは、相続を理由にした不動産売却のトレンドを定期的に追跡しており、必要なデータを提供しています。今後の不動産市場では、相続問題の増加がさらなる社会課題を呼び起こすことが予想されます。しかし、適切なタイミングでの売却や活用を考えることが、より良い未来を築くためのカギとなるでしょう。
このように、2025年問題を受けて家じまいと相続の意識が高まっている中、今後の不動産市場の動向を注視することが重要です。