地震に備える新たな選択肢、TAISHIN100 Standardsが8,400棟突破
9月1日、「防災の日」に一般社団法人耐震住宅100%実行委員会が発表したのは、全国で「TAISHIN100 Standards」に適合した住宅が8,400棟を越えたというニュースです。この基準は、国の最低限の耐震基準を超え、地震後に安心して暮らし続けられる住宅を追求しています。目指すは、単なる「倒壊しない」住まいではなく、「地震後も安全に生活できる」価値を提供することです。
8,400棟の実績がもたらす新しい安心感
TAISHIN100 Standards適合住宅の累計は、2025年の8月末で8,400棟に達しました。この成果は、ただの統計データではなく、住民の生命と生活を守るための一つの答えです。過去の大地震から学び取った教訓をもとに、安心して暮らせる住宅の在り方が求められています。
特に、2016年の熊本地震や2024年の能登半島地震では、国の基準を満たしていた住宅が倒壊するという現実が明るみに出ました。こうした教訓を受けて、私たちは「多くの人が安心して住み続けるためには、法律の基準だけでは不十分だ」という認識に至りました。
なぜ準拠基準だけでは足りないのか?
これらの経験から何が導き出されたかというと、、法律の基準は「倒壊防止」の最低ラインを示すものであって、「地震後も存続可能」とはならない現実です。例えば、熊本地震において、「耐震等級2」の住宅が倒壊し、旧耐震基準の家にも大きな被害が出ました。これは、我々が住まう「家」が、ただ耐震基準をクリアするだけでは安心できないことを示唆しています。
また、住宅の耐震性能を示すデータを確認することなく購入する人は少なく、第三者評価を受けていないケースが多いため、重要な情報が欠けている状態と言えます。この空白を埋めることこそが、未来の安心を確立するカギとなるでしょう。
TAISHIN100 Standardsの新しいアプローチ
TAISHIN100 Standardsでは、以下の3つの約束を掲げています。
1.
最高基準の耐震等級3を基本設計:災害時に重要な役割を果たす消防署や警察署と同レベルの耐震性を住宅にも求める。
2.
全棟で構造計算を実施:物件ごとの形状に応じて詳細で科学的な安全性評価を行い、徹底した構造計算を実施します。
3.
設計図の電子保存:住宅の履歴を無償で電子化し、今後のリフォームや売却時に家の価値を保ちます。
これらの取り組みは、単なる数字の積み重ねではなく、地域社会に新しい安心をもたらす基盤を築いているといえます。結果として、2015年には最優秀レジリエンス賞を、2023年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
防災の日にこそ、未来の備えを見直す
防災の日を迎え、自分の住まいについて真剣に考える時です。ご自身の住まいの耐震性について、耐震等級や構造計算の有無を確認し、設計図書が整っているかどうか見直してみてください。
私たちは、今後も「地震後も安心して住み続けられる家」を多くの人々に届けるために行動を継続していく所存です。皆さんも一緒に、この新たな安心を地域の常識へと変えていきましょう。
団体概要
一般社団法人耐震住宅100%実行委員会は、真に高品質な耐震住宅の普及を目指し、2017年に法人化されました。私たちは、活動を通じて、日本全国で安心・安全な住まいをこれからも作り続けていきます。