NSKワーナーが開発した導電バイパスプレートとは
NSKワーナー株式会社は、自動車市場における革新を目指し、高い導電性と省スペースの特性を兼ね備えた「導電バイパスプレート」を開発しました。2026年に市場投入予定で、2027年には10億円の売上を目指しています。今回の技術革新が自動車業界にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 開発の背景
自動車業界は現在、電動化の波に大きく影響されています。特に電気自動車(EV)では、航続距離の問題が重要な課題となっています。このため、eAxleなどの電動車の駆動ユニットに高電圧モーターが採用される流れが進んでいますが、これにより軸受周辺に発生する電圧や電流による「電食」や、電磁ノイズといった新たな問題も浮上しています。
これらの問題を解決するために、高い導電性を持つ導電アイテムが必要とされています。特に、小型・軽量化が求められる中で、省スペースと高い導電性を両立した製品開発が急務となっています。
2. 製品の特長と効果
今回開発された導電バイパスプレートは、独自の導電ペーパとスプリング反力を活用した構造を採用しており、世界最高水準の導電性と省スペースを実現しています。この製品は、一般的な類似品と比較して10倍以上の導電性能を持ち、厚さはわずか0.3mmと驚異的な省スペース性を誇ります。
2.1 高い導電性の実現
導電バイパスプレートは、高電圧モーターによる電食やEMC問題を軽減します。これにより、電動車の駆動部における設計の自由度も高められ、さらなる発展が期待されます。特に、電動車の駆動部における電食対策が重要視されている近年、この製品はその解決の鍵となるでしょう。
2.2 誰でも簡単に装着可能
本製品の装着は簡単で、従来の類似製品が接合のために圧入工程を要するのに対し、導電バイパスプレートは軸受とハウジングの間に挿入するだけで使用できます。このシンプルな装着方法が、自動車メーカーにとっても大きなメリットとなるでしょう。
3. 技術的な先進性
3.1 導電ペーパ
新たに開発された導電ペーパは、既存の技術よりも大幅に導電性を向上させました。特に、油中での使用も可能な気孔構造を保持し、さまざまな環境での適応力も期待されます。これは自動車向けの湿式摩擦材の開発に長年携わってきたNSKワーナーが培ったコアテクノロジーを活かしています。
3.2 スプリング反力の活用
自社開発のスプリング反力を活用した構造により、導電ペーパが軸受に対して安定した接触を保つことが可能となっています。この構造が、より省スペース化を実現し、トータルコストの削減にも寄与しています。
4. NSKワーナーの使命
NSKワーナーは、自動車産業において半世紀以上の長い歴史を持ち、革新的技術の開発を続けています。単なる導電アイテムの開発に留まらず、持続可能で豊かな未来を実現するために、新たな顧客価値を創造し続けるという使命を掲げています。今回の導電バイパスプレートも、その努力の一環として位置づけられます。これからの自動車業界において、どのような変化をもたらすのか、大いに期待が寄せられます。