自動運転車の未来を見据えたサイバーリスク分析に取り組むVicOne
トレンドマイクロの子会社であるVicOne株式会社は、自動車向けのサイバーセキュリティに特化した企業で、東京都新宿区に本社を構えています。この度、同社は損害保険料率算出機構から、自動運転車の普及を支えるためのサイバーリスク分析業務を受託しました。本記事では、この取り組みについて詳しくご紹介します。
取り組みの背景と目的
近年、自動運転技術が急速に進展する中、一度のサイバー攻撃によって多数の自動車が影響を受ける可能性が浮上しています。このような「集積リスク」は、重大な事故を引き起こし、保険業界にとっても巨額の保険金支払いを引き起こす可能性があります。そこで、VicOneは損害保険料率算出機構からの依頼を受け、自動運転時代の新しいサイバーリスクに関する基礎的な研究を行うことになりました。
この研究は2024年の7月から始まり、2025年の7月を目途に完了を予定しています。VicOneは、さまざまなリスクシナリオを導き出し、それに基づいて被害の程度や損害額を算出することで、保険料率の研究を支援します。
VicOneの専門知識
VicOneは、トレンドマイクロが長年蓄積してきたサイバーリスク研究の知見を活かし、自動運転に特化したサイバーリスクの解析に注力しています。自社の専門知識と高度な技術を用いて、安全で高性能な自動運転ソリューションを提供する企業に対して、リスク評価と保険料率算出の検討を行います。
具体的な取り組み内容
本プロジェクトにおいて、VicOneは次のような具体的な取り組みを行います。
1.
サイバー攻撃の洗い出し:サイバーリスクを正確に評価するために、どのような攻撃が可能かを徹底的に分析します。
2.
リスクスコアリング:各種リスクを定量化し、発生確率を算出していきます。
3.
シナリオ特定:事故が発生した際の被害が大きいシナリオを特定し、その発生確率を考察します。
これらのプロセスには、文献や過去のデータを活用し、さまざまなリサーチ情報を収集・分析して的確なリスク評価を行います。サイバーセキュリティフレームワークを用いた定量評価を実施し、得られたリスクデータをもとに事故の発生確率とその影響を推定します。
まとめ
自動運転技術の普及は、私たちの交通の在り方を大きく変える可能性を秘めています。しかし、それに伴う新たなリスクも生じており、VicOneはその課題に真摯に向き合っています。今後の取り組みにより、自動運転車の安全性向上と保険制度の健全化が冨をもたらすことが期待されています。VicOneの挑戦が、安心・安全な自動運転社会の実現へとつながることを祈ります。