不利用バイオマス活用に向けた協定締結が持つ意義と展望
株式会社ヤマタネがトレ食株式会社とJA新みやぎとの間で、未利用バイオマスの有効活用に関する協定を締結しました。この取り組みは、農業分野における循環型社会の実現に向けた一歩といえます。本記事では、協定の経緯や目的、将来の展望について詳しく見ていきます。
経緯と背景
ヤマタネは、福島県南相馬市のトレ食株式会社に出資し、その技術を活用することで、籾殻からセルロースを抽出し、販売する事業へと進化させることを決定しました。このプロジェクトは、JA新みやぎ管内の宮城県栗原市に必要な機械装置を設置することを前提に展開されます。
トレ食が持つセルロース抽出技術は、化学薬品を使用せずに環境に優しく、製造コストを抑えることができる特徴を持っています。これにより、日本の伝統的な循環型農業の再生を目指し、籾殻の処理コスト削減と資源の再利用を促進することが期待されています。
さらに、本協定はヤマタネが進める「持続可能な農業の実現」に寄与するものであり、トレ食とJA新みやぎとのさらなる連携と協力関係の強化を図ることが目指されています。
協定の目的
この協定は、日本全国で年間約150万トンもの籾殻が排出されている現状に対応するために結ばれました。特に、農業や食品産業において、未利用バイオマスの廃棄に関するコストや環境負荷を軽減することが焦点です。この共同プロジェクトを通じて、各社は役割を分担し、持続可能な発展を進めるための協力体制を構築します。
- - ヤマタネ:プロジェクトの運営
- - トレ食:研究及び機械装置の開発
- - JA新みやぎ:未利用バイオマスの供給や支援
将来展望
この事業は、単なる籾殻のセルロース抽出にとどまらず、農業資源の循環に新たな道を開くことを目的としています。
1.
多様な未利用バイオマスへの展開:初期段階は籾殻の再利用ですが、将来的には他の未利用バイオマスにも技術適用を進めていく計画です。
2.
高付加価値材料への加工:セルロースナノファイバーや生分解性プラスチックなど、さまざまな新素材の開発が視野に入っています。
3.
循環型モデルの構築:抽出後の残液を自然由来の農薬として再利用し、環境に配慮した農業生態系を目指します。
4.
再生可能エネルギーとの融合:バイオマス燃料としての利用も検討し、農業とエネルギーの新しいモデルを築くことが狙いです。
各社の概要
ヤマタネは1924年創業以来、安心安全な米の提供を目指し、全国の産地と連携を強化してきました。持続性という理念のもと、地域社会や農業の発展に寄与する施策を推進しています。
トレ食は、籾殻からのセルロース抽出技術と関連する商品開発を積極的に行っています。
JA新みやぎは宮城県北部の広範囲を代表するJAで、稲作や多様な農畜産物の生産において重要な役割を果たしています。
この協定により、農業の持続可能性を促進する新たな道が開かれ、未来への期待が高まります。