iPS細胞由来心筋球の臨床試験が進行中
Heartseed株式会社と日本ライフライン株式会社が手を組み、他家iPS細胞由来心筋球「HS-005」の臨床試験を進めることを発表しました。この提携は、心筋再生医療の実現に向けて重要な進展を示しています。
Heartseedと日本ライフラインの役割
Heartseedは、iPS細胞を基にした心筋補填療法の開発を進めており、日本ライフラインはその支援を行います。日本ライフラインが提供する投与カテーテルシステムは、HS-005の臨床試験における症例登録で使用され、2025年内の治験届提出を目指しています。これにより、患者にとって負担の少ない治療法としての可能性が広がります。
HS-005について
HS-005は、国内のLAPiS試験で患者投与が完了し、経過観察が行われているリードパイプラインHS-001の次世代品です。この治療法では、他家iPS細胞から高純度に作製された心筋球が使用され、心筋層内への正確な投与を実現します。心筋球は微小組織であり、単一細胞と比較して生着率を高めることが既往の非臨床試験で証明されています。
投与カテーテルシステムの革新
日本ライフラインが開発した投与カテーテルは、心臓内の3Dマッピング表示に対応しており、医師は実際の心臓イメージを確認しながら正確に投与位置を特定できます。カテーテルの先端には電極が備えられており、心電図変化を利用して心筋層に達していることを確認しながら細胞を吐出できます。これは特許技術にも依存しており、より安全で正確な投与が期待されています。
3Dマッピング技術の重要性
3Dマッピングとは、心臓内部の電気的信号や構造を立体的に可視化する技術のことです。この技術は不整脈治療でも使用されており、今回の心筋再生医療にも応用されています。これにより、細胞投与の精度向上が見込まれています。
提携の意義
Heartseedの代表取締役社長、福田惠一氏は、心筋球を安全に投与するためには日本ライフラインの技術が必要であり、この提携は心筋補填療法の社会実装に向けた大きな進展だと強調しています。一方、日本ライフラインの鈴木啓介社長は、再生医療への貢献が同社の悲願であり、双方の強みを生かして患者へ新たな希望を届けるために尽力する意向を示しました。
今後の展望
Heartseedと日本ライフラインは、今回の協業を通じて急速かつ確実な心筋再生医療の進展に向けて全力を尽くします。患者にとって低侵襲で効果的な治療法の実現が期待されており、将来的には多くの心不全患者に新しい選択肢を提供することが目指されます。
企業概要
Heartseed株式会社
Heartseedは心筋再生医療の実現を目指すバイオベンチャーで、2024年7月に東京証券取引所グロース市場に上場します。さまざまな独自技術を持ち、国内外で多くの賞を受賞している企業です。
日本ライフライン株式会社
日本ライフラインは心臓・循環器領域の医療機器企業で、国内唯一の心臓向け細胞投与カテーテルの開発経験を持ち、常に最新の医療機器を提供することを使命としています。
今後の両社の連携に注目し、心筋再生医療の未来を期待しましょう。