岡山大学が半導体人材育成に本格的に着手
2025年7月8日、岡山大学が新たに設けた「半導体人材育成」に関する講座がスタートしました。このプログラムは、日本の製造業の未来を見据えた人材育成の一環であり、およそ180人の学生が参加しました。
特命教授によるゲスト講義
初回の講義は、経営学入門として実施され、広島大学の青砥なほみ特命教授が講師を務めました。青砥教授は、日米のメモリーメーカーでの経験を基に、半導体とイノベーションマネジメントについてのケーススタディを室内で行いました。
参加した学生たちは、半導体産業が経済だけでなく社会に与える影響についての理解を深め、多くの気づきを得たとのことです。「GDPの製造業の割合が日本は21%で、アメリカは11%だと知り、衝撃を受けた」という声が寄せられるなど、半導体産業の重要性に対する幅広い認識が広がっていることが分かります。
講義から見える危機感
また、参加者からは日本の現状に対する危機意識も多く聞かれました。「国際的な電気電子産業の競争が進む中で、日本だけが変化がないことに非常に危機感を覚えた」といった意見がありました。技術者不足やICTインフラによる電力消費問題など、半導体は単なる経済の話題ではなく、社会全体に関わる大きなテーマであることが認識されています。これらの意識は、今後の日本における製造業の成長を考える上で重要な要素となることでしょう。
多様な価値観への理解
さらに、青砥教授の講義を受けて、学生たちは国際社会で活躍するために必要な素養にも気づきを得た様子です。「異なる価値観を持つ世界の人々とコミュニケーションを取るために、今のうちから多様なバックグラウンドを理解し、価値観の違いを尊重することが重要だ」との声があります。これは、今後ますますグローバル化する社会において必要なスキルと言えるでしょう。
産学官連携の重要性
岡山大学は、岡山半導体研究教育推進委員会を通じて、産学官の連携を強化し、半導体分野における研究や人材育成を推進しています。岡山県内外の大学や企業と協力し、地域の特性を生かした教育プログラムが計画されています。特に、「先端半導体テクノロジー入門」や「先端半導体テクノロジー講座」といった公開講座は、地域住民にも広く門戸を開いているといいます。
終わりに
今後も岡山大学は半導体分野に特化した教育と研究を強化し、より多くの次世代を担う人材を育成していく予定です。地域の教育機関として、岡山大学の取り組みに期待が高まります。