アジア太平洋地域の不動産市場が安定に向かう理由
アジア太平洋地域の不動産市場において、安定化の兆しが見えてきています。アメリカのグローバル不動産総合サービス会社であるクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが発表した最新の調査によると、アジア太平洋地域の事業用不動産市場は、経済の停滞といった厳しい状況を経て力強い回復基調にあるとのことです。これに伴い、投資家にとって魅力的なエントリーポイントがいくつも提示されています。
日本を含む主要市場の魅力
調査結果では、オーストラリアとシンガポールが特に注目されており、日本もなお魅力的な市場として評価されています。特に日本では、低い空室率と安定したマクロ経済環境が、投資家の関心を引き続き集めている要因となっています。物流・産業用不動産が市場のリーダーシップを握る一方で、小売やオフィスセクターも高い投資魅力を維持しています。
TIMEスコアとフェアバリュー指数の重要性
同調査は、独自の指標「TIMEスコア」と「フェアバリュー指数(FVI)」の分析結果から作成されています。TIMEスコアは投資市場への参入・撤退のタイミングを示し、市場の循環性、勢い、成長性、リスクなど、4つの基本的側面を分析しています。このスコアが3.1という数字は、地域全体の不動産市場が成長初期段階にあることを示しています。
FVIは現在の価格設定の魅力を測定し、5年間の保有期間を想定した場合のリターンを評価します。このインデックスは、昨年の22.7から急上昇し、2025年第3四半期までには62.5に達すると予測されています。特にオーストラリアとシンガポールはバリュー投資を志向する投資家にとって特に魅力的な市場とされています。
今後の展望と投資チャンス
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのアジア太平洋・欧州中東アフリカ地域マーケット部門プレジデント、ジェームズ・ヤング氏は、「資金調達が加速しており、コアおよびコアプラス戦略が復活する見込みです。また、高成長分野への関心が高まり、特にオーストラリア、日本、韓国において居住施設などの市場が活発化しています」と述べています。
2025年には、香港での9億2500万米ドル規模のプライムオフィス物件取引や、韓国のパンギョテックワンタワーでの14億7000万米ドルでの売却など、重要な取引が続く見込みです。これにより、投資家たちが長い間蓄積してきた資金を活用し始めるため、2016年までの新たな成長が期待されています。
結論
このように、アジア太平洋地域の不動産市場は安定へ向かう中で、特に物流・産業用資産の回復が注目される一方、日本やオーストラリア、シンガポールといった市場には高い投資関心が寄せられています。今後の投資機会に注目し、戦略的なアプローチを取ることが重要です。