増加する外国人患者と医療の現場
訪日外国人や外国人居住者が増加している日本。これに伴い、日本の医療現場では英語を含む語学対応の重要性が急速に高まっています。しかし、実際の医学教育は日本語に重点が置かれており、英語での専門知識を習得する機会は限られています。このため、日本の医師たちは患者とのコミュニケーションや医療説明において、さまざまな困難に直面しています。
調査概要
MED ITALY株式会社が実施した調査では、全国の医師約1,029人を対象に「医師の英語対応力」に関する事柄を調査しました。調査は2025年6月13日から14日まで行われ、外国人患者の増加に関して医師たちがどのような問題を実感しているのかを明らかにしました。
外国人患者の増加を実感する医師の割合
調査の結果、約9割の医師が「外国人患者が増加している」と強く感じていることがわかりました。この流れは、多くの医療機関が外国人患者にもっと対応しなければならないという事実を反映しています。
医師の意識の変化
また、「国際的なキャリアに憧れを持ったことはあるか」との質問には8割以上が「ある」と回答し、国際的な舞台での活動に対する関心が高まっていることが示されています。しかし、一方で英語力の不足によって、診療上での支障が生じる場合が多いとされます。
語学力不足がもたらす具体的な課題
調査の中で、医師たちが「外国人患者の診療で支障が出たこと」として最も多かったのが、『診断・治療内容を十分に説明できなかった』という回答(42.3%)です。この他にも、症状の把握や服薬指導などにおいても困難を感じる医師が多いことが分かりました。特に、国際学会などに参加した際に英語力がもっとあれば有意義な経験ができたと感じた医師が9割以上に達しており、学術活動における語学力の必要性も浮き彫りになっています。
英語対応スタッフの現状
実際に、医療機関における英語対応の体制はどうなっているのでしょうか。調査によると、英語でスムーズに医療対応ができるスタッフの健全な環境が整っていると回答した医師はわずか15.6%にとどまり、5割以上の英語スタッフがいるとの回答はごく僅かでした。このような現状は、診療の質や効率を低下させ、患者の安全にさえ影響を及ぼす可能性があります。
医療のグローバル化に向けての取り組み
このような現状を受け、医師たちは英語の重要性を強く認識しています。約8割以上が英語対応力を今後のキャリアにおいて重要だと考えており、その理由には外国人患者とのコミュニケーションの円滑化や学術情報の直接入手が挙げられます。さらに、医学留学などの海外学びを支持する意見が約9割に達するなど、医師たちの意識には変化が見られています。これにより、医療の質を向上させ、国際的な視野を持つ医師が育成されることが期待されています。
さらに必要な支援
英語学習の支援が求められる中、実践的な英語力を磨くための機会をいかにして提供していくかが今後の大きな課題です。医師が国際的な舞台で活躍できるよう、語学教育の強化や専門的な英語指導も重要です。これにより、医療関係者のグローバルスタンダードに符合した能力向上が見込まれ、結果として日本の医療の質の向上にも寄与することが期待されています。