韓国進出を果たしたヤマシタ、介護用品レンタル市場の新たな扉を開く
静岡県に本社を構える介護用品レンタルの大手、株式会社ヤマシタが2025年4月から韓国市場へ本格進出することになりました。同社は、韓国の介護用品販売企業SAM JUNG HUMAN SERVERの子会社「株式会社山下三井」の株式を取得したことにより、介護用品の卸販売事業を開始します。これは、2020年からの中国での事業展開に次ぐ、二カ国目の海外進出となります。
介護業界におけるグローバルな課題
2023年の世界人口は80億人を超え、2030年には9年後の増加が予測されています。アジア地域も同様に、2023年には48億人に達し、2050年には53億人を突破する見込みです。特に高齢者の人口の増加が際立っており、2060年にはアジアの65歳以上の人口が12億人に達する予測が出ています。日本はその中で高齢化率が非常に高く、そのため高品質な介護サービスが求められています。
近年、ヤマシタは1986年から在宅介護向けに介護用品のレンタルサービスを提供しており、中国では日中合弁会社を2020年に立ち上げ、2023年からは天津市で介護リフォーム事業も展開しています。
韓国における急速な高齢化
韓国の高齢化は目を見張るものがあります。2045年には高齢者人口比率がアジアで最も高くなると見込まれ、需要が急増しています。さらに、福祉用具貸与数は2010年から増加傾向にあり、介護用品レンタル市場の成長が期待されています。ヤマシタとヒューマンサーバーが実施した調査では、韓国の介護事業者も介護用品の品質に課題を抱え、機能性やクオリティ向上が求められています。
ニーズに応えるための戦略
その要請に応え、ヤマシタは2025年4月から日本を含む海外製品の卸販売事業をスタートする運びとなりました。これにより、韓国の介護事業者へ高品質な製品を供給し、介護分野での成長を図ります。
今後は、卸販売が軌道に乗った後にレンタル事業や介護教育事業にも進出する予定です。
まとめ
ヤマシタは1963年の設立以来「正しく生きる、豊かに生きる」を企業理念に掲げ、リネンサプライや介護サービスなどで成長を続けています。2024年の売上高303.8億円を記録し、今後はさらなる海外展開を目指すとともに、日本における介護サービスの質を海外へと広げることに力を入れています。2040年までの市場拡大に期待が寄せられる中、ヤマシタの新たな挑戦に注目が集まります。