キャリア戦略の新たな視点を探る - 出版記念イベントレポート
2023年6月9日、株式会社Trustyyleが運営するコミュニティ「人事図書館」にて、出版記念イベント『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』がオンラインで行われました。このイベントでは、株式会社Your Patronumの代表取締役・森数美保氏が登壇し、キャリア支援の重要性を語りました。
イベントの目的
本書は、「Will(やりたいこと)がなくても、キャリア戦略は描ける」というメッセージを基にしています。森数氏は、個々のキャリア支援を「個人の問題」から「人事戦略の中心」に置き換える視点を提示しました。この考え方は、組織の成長にどのように影響を与えるのでしょうか。
イベントの内容
今回のイベントでは、以下のテーマが取り上げられました。
1. 自分らしいキャリアの構成要素
森数氏は、自分らしいキャリアを構成するための3つの要素を紹介しました。それは【①事実(経験・スキル)②特性(好き・得意・ストレス)③価値観】です。この複眼的な視点が重要であると強調し、「経験=能力ではない」との指摘も印象的でした。
2. なりたい自分とありたい自分
キャリアの支援を行う上で、周囲の期待や役割に基づく“なりたい自分”と、内面的に求める“ありたい自分”を明確に区別することが第一歩であるとしました。森数氏は「制約がなかったらどうしたいか」という質問が思考の幅を広げる鍵になると述べました。
3. ファミリーキャリア
さらに、近年のキャリア設計は個人単位から家族単位に移行しているとし、シングル、リード、交換、並行、補完という5つのファミリーキャリアの類型を提唱しました。「納得して働くことが持続的なパフォーマンスを生む」というメッセージは多くの参加者に響きました。
4. 感情の重要性
キャリア行動の変容のためには、正しさよりも感情の動きが重要であると森数氏は語ります。人の心を動かすストーリーテリングの技術が、キャリア支援において不可欠であると強調しました。
参加者の感想
多くの参加者がイベントに満足しており、特に「なりたい自分とありたい自分は異なる」という視点が刺さったとの声が寄せられました。また、キャリア支援についての理解が深まったとの意見も多く、特に「行動変容をもたらすには制度の改善が必要だ」との気づきがありました。
人事施策への示唆
今回のイベントを通じて、参加者は「Willが無いことは悪いことでない」とのメッセージも受け取りました。仕事の意味づけを再構築し、選択肢が豊かであることが「残りたい」と思わせる環境づくりにつながるとされました。
森数氏のメッセージ
森数氏は、「キャリア支援は福利厚生ではなく、事業成長の武器である」と強調し、今後のキャリア支援についての方針を示しました。その鍵は、ファクト起点の対話、感情を動かす行動設計、ライフを含む全体最適の3つであるとのことです。
人事図書館について
人事図書館は、2024年4月1日に東京人形町にオープンし、2500冊以上の人事に関連する書籍と600名以上の会員が所属しています。今後もキャリアと組織開発に関する勉強会を継続的に開催する予定で、コミュニティの活動はキャリア戦略を組織の武器に変えるための貴重な機会となるでしょう。